定期巡回コラムシリーズ「定期巡回のリアルな働き方」Part1

定期巡回のリアルな働き方

定期巡回サービスの“リアルな働き方”について、高浜将之 常務取締役と三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)の対談が行われました。

今回、高浜常務が招いた三ツ橋直人は、これまで施設介護や重度訪問介護の現場で働き、現在は定期巡回サービス土屋の管理者として、広島にて勤務しています。

定期巡回サービスに携わって間もない三ツ橋直人が、施設や重度訪問介護とのギャップを通して、新しい視点で語る「定期巡回のリアルな働き方」。

Part1~3の三部作でお送りします。

高浜将之

定期巡回を始める前と始めた後のギャップはどのようなことですか?

三ツ橋直人



定期巡回は“在宅限界を延ばせる”というイメージがあったので、重度の方ばかりかと思っていましたが、以前所属していた粕谷事務所(福岡県糟屋郡)では比較的軽い方が多く、生活の支援が多かったのが印象的でした。

常務取締役・高浜将之

定期巡回で実際に働いてみた印象はどうですか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

まずは「1件の訪問時間が短い」というのが第一印象です。訪問介護では身体1の場合でも30分ほどご自宅で支援しますが、定期巡回では入浴を除けば、短い方だと5分くらい、長い方でも20分くらいの支援時間になります。30分もいることはほとんどありません。

常務取締役・高浜将之

5分くらいの短い方では、どのような支援をされているんですか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

お薬を準備したり、「ご飯食べて下さいね」などの声掛けですね。食事のセッティングはこちらでして、在位保持が確認できたら声掛けだけして、他の支援に行ってから片付けに戻ることもあります。電話で「起きて下さいね。今日、デイサービスがありますよ」などの連絡を入れることもあります。

常務取締役・高浜将之

電話の支援もあるんですね。訪問する必要もないけれど、定期的に連絡をして、ご本人にスケジュールをお伝えするといったことですね。
では、20分ほどの長い方の支援はどのような形ですか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

排泄介助や食事の準備・介助、洗濯物を一緒に畳んだりする場合ですね。利用者さんのペースに合わせるので、長めの支援になります。
食事に関しては、全介助で在位保持も短時間しか難しい方の場合は、20~30分の支援になります。

常務取締役・高浜将之

短い時間と長い時間の支援を組み合わせて、多い時で何件くらい訪問していますか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

多い時で12件くらいでしょうか。

常務取締役・高浜将之

8時間のうちに12、3件訪問しているのが現状かと思いますが、ご利用者がもう少し増えてくると、一人で訪問できるのは恐らく最大15件ほどでしょうか。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

ルートが細かく、移動範囲が狭くなってくると、1時間で2件ほど。休憩1時間と考えると、それくらいだと思います。

ポイント①

1件の訪問が短い!
定期巡回では短い方だと5分くらい、長い方でも20分くらいの支援時間になります。

ポイント②

仕事時間内(8時間)の訪問件数は一人当たり12件ほど!
最大でも15件ほどです。

常務取締役・高浜将之

三ツ橋さんは以前、施設で働かれていましたが、施設介護と定期巡回では実際の支援内容にどのような違いがありますか?
求職者の方からも「施設介護しかしたことがないので、在宅介護はどんな感じなのか不安です」というご意見が多く寄せられています。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

仕事内容は施設とほとんど変わりません。調理のご依頼はたまにありますが、定期巡回サービスの特性上、長時間の滞在は他の利用者さんの支援に支障が出るので、そうしたご依頼をお受けする時は「もうそれしか、その方の自立支援が成立しない」という場合に限ります。そういうわけで調理もほぼないですし、私は施設介護と同じような感じでサービスに入っています。

常務取締役・高浜将之

そういう意味では、施設で働いていた人が実際に定期巡回に移っても、違和感なく働けるという印象ですね。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

そうですね。施設から訪問に切り替える方の多くは「もう少しご利用者に寄り添いたい」という思いを持っておられると感じるので、違和感どころか、定期巡回にバッチリはまると思います。

常務取締役・高浜将之

短時間ではあっても「一人一人に寄り添える」という感覚のある仕事ということですね。施設はどちらかというと“流れ作業”の感が強いので、ケアワーカーも「この人の生活をちゃんと支えられているんだろうか」という疑問が生まれて、在宅介護やグループホームに移る方が比較的多いと感じますが、定期巡回では施設で働いていた時よりも「利用者さんと関われている」「この方の生活をしっかりと見れている」という充実感を感じられるということですね。

ポイント③

施設介護と定期巡回の仕事内容はほぼ同じ!定期巡回では、より“ご利用者に寄り添える支援”が可能です。

常務取締役・高浜将之

ご利用者を支える上で、定期巡回ならでは事柄をお聞かせいただけますか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

やはり、しっかりとした「アセスメント」です。ご利用者の環境や、できること・できないことを、スタッフがコミュニケーションを取りながら共有・理解していき、その上で計画作成責任者(コーディネーター)のプランに反映させて自立支援につなげていきます。これはスタッフのモチベーションを上げることにも役立っています。

常務取締役・高浜将之

訪問介護は、基本的に一人で利用者さんを支援する個別性の強い仕事で、共有はしてもチームケアではない傾向が強いと感じますが、定期巡回では非常にチームケアが成り立っているように思いますね。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

そうですね。定期巡回ではサービスの特性上、ご利用者は特定のヘルパーを指名できません。スタッフみなが同じご利用者の支援に入り、同じような支援をしなければいけないので、チームケア、いわゆる情報の共有は強く意識しています。

常務取締役・高浜将之

チームケアで最も重要なのは「アセスメントの共有」ですが、多くの介護事業所ではアセスメントの共有ではなく、ケアプランの共有になりがちだと思います。例えばアセスメントはケアマネージャーさんだけがするもので、それによって立てられたケアプランをスタッフは見るだけということが介護業界ではよく見受けられると感じます。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

そうですね。

常務取締役・高浜将之

私がグループホームのがわの責任者だった当時に作り上げたシステムが、この状態を打破するために、ケアワーカー一人一人のアセスメントを活用することでした。

つまり、ケアプランの形骸化が介護保険上よくないことであり、そうならないためにもケアプランに基づいた記録にしようと。

ただ、そもそもケアプランにちゃんと興味を持ってもらったり、ケアプランの前段階で必要になるのはやはりアセスメントです。

そして、アセスメントは一人の担当者だけでは十分ではありません。

というのも、利用者さん自身が、例えば男性に見せる顔と女性に見せる顔、若い男性に見せる顔と若い女性に見せる顔は違うと思いますし、その関係性の中でスタッフ一人ひとりが引き出している情報は異なっているものです。

それによって、みなそれぞれが微妙に違う情報を持っているはずで、この情報をいかに集めて、その人の本当の状態を認識するかが、チームケアにとっては非常に重要です。

この情報を持ち寄るために、のがわでは“カンファレンス”を行っていました。多くの事業所では、カンファレンスというのはケアプランを確認する会議になっています。

アセスメントが終わり、ケアプランが出され、その最終確認の読み合わせをする場ということです。

けれど、大切なのはスタッフそれぞれが持っている情報であり、それをケアプランに反映するのが望ましいと考えて、のがわではカンファレンスをアセスメント会議にしていました。

そこで、利用者さんに対する声掛けや関わり方の程度などのすり合わせをしていたんです。

定期巡回でも情報の共有、すなわちアセスメントを大切にしているということですが、アセスメントの共有はどうしていますか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

各計画作成責任者が月1回、ICTを用いたクライアントごとのグループチャットで情報を持ち寄り、その情報に対するスタッフそれぞれの意見を募るという方法を取っています。

常務取締役・高浜将之

より今の時代に合ったやり方で、ダイレクトに情報を共有できているということですね。

その上で、計画作成責任者がそれらをまとめてアセスメントに反映し、それをケアマネージャーと共有しつつ、支援の回数や方針を決めていくという流れですね。

そして、それを毎月行っている。入居系や訪問介護は早くて3か月、通常6か月に1回のアセスメント更新ですが、定期巡回土屋ではやはり早い。

それによって、その人に合ったプランに変更し続けるという意味では、利用者さんに寄り添った支援につなげられていると感じます。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

定期巡回の正しい運営、サービス特性として、常に訪問回数の増減ができるということがあります。

けれど、アセスメントの結果、プランを変更して訪問回数が少なくなることについては、ご利用者やご家族、ケアマネージャーから拒否反応が出ることも事実です。

そのために、自立支援までを念頭に置いて、サービスの必要性や適正な訪問回数を、現行のケアプランを元にアセスメントし、随時変更を行っています。

また訪問回数が多いとスタッフも疲弊するので、スタッフに心の余裕を持ってもらうためにも、それぞれがしっかりとアセスメントして情報を共有するというのが事業所の流れでもあり、それ故スタッフも情報を多く吸い上げてくれていると感じます。

他にも、訪問介護では時間が余ってしまう時がよくありますが、そうした場をつなぐためにコミュニケーションをしがちです。

一方、定期巡回ではアセスメントをしながら必要なことのみを行うので、“本当に必要なコミュニケーション”を取れるところが定期巡回ならではで良いのではと感じています。

ポイント④

定期巡回はチームケアが基本!そのため、スタッフ一人一人がアセスメントし、情報を収集・共有し、それがケアプランに反映されます。

「定期巡回のリアルな働き方」Part2 】はこちら
「定期巡回のリアルな働き方」Part3 】はこちら

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