月額報酬制で提供される定期巡回。日割りでの清算になるケースとポイントは?

自宅で暮らすことを選んだ要介護認定を受けたクライアントが安心して毎日を過ごすことができるように地域全体でサポートしていく介護保険制度が、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。

24時間365日ご自宅へ定期訪問・緊急時対応の体制を整えている居宅サービスになりますので、最期まで住み慣れた自宅で暮らし続けたいというクライアントの意志を尊重することができ、年々需要が高まっています。

大きなメリットとしては、24時間365日の介護サービス受けられることが可能である点だけでなく、介護報酬が月額制で一定となっている点が挙げられます。

緊急時や深夜・早朝に関わらずサービスの利用が可能という精神的・身体的な安心感に加えて、料金面でも負担をできるかぎり軽減したサービスであることから、多くのクライアントや家族に支持されています。

さらに料金面でのメリットとして、例外的に日割り計算が適用になるケースも幾つか存在します。

今回は定期巡回の利用料金が日割り計算の対象となる場合や、日割り計算の際の注意点についてご紹介していきます。

目次

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の料金

定期巡回の利用に伴う介護報酬は月ごとに一定の単位数として定められていますので、利用したサービスの内容を問わず、毎月一定の介護報酬が定められています。

基本の単位数が最も少ないのは要介護1のクライアントが一体型で訪問看護を利用しなかった場合の5,697単位、最も多いのは要介護5のクライアントが一体型で訪問看護も利用した場合の29,601単位となっています。(※一体型や連携型で、単位は変動)

基礎単位にサービスの提供状況・提供体制に応じた加減算、また地域区分による加算を計算し、実際の介護報酬が決定されます。

クライアントの負担額は1割の場合、定期巡回を月額で利用する際の自己負担金の目安は9,000~36000円程度と考えておいてよいでしょう。

定期巡回を日割りで計算する事例

サービスの利用回数や内容、また利用した時間帯などによっては料金が変わることのない定期巡回なのですが、イレギュラーとして日割り計算が適用となるケースがあります。

具体的な例は、以下の通りとなっています。

介護区分の変更が行われた場合

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、クライアントの要介護度によって介護報酬の単位数が定められています。

そのため月の途中でクライアントの介護区分が変更となった場合は、変更日の前後でそれぞれ基礎単位数を日割り計算することになります。

(例)要介護2で訪問看護を利用しているクライアントが、9/20より要介護3に区分変更となるケースをご紹介します。
・9/1~9/19は、要介護2の日割り基礎単位334単位×20日で算定します。
・9/20~9/30は、要介護3としての日割り基礎単位555単位×10日で算定します。
・上記の合算単位に、各種加減算と地域区分を計上していきます。

一時的に、ショートステイを利用した場合

クライアントが一時的にショートステイを利用した場合は、日割り計算の対象となります。

(例)要介護4で訪問看護を利用していないクライアントが、9/1~3まで2泊3日のショートステイを利用したケースをご紹介いたします。
・9/1~9/3はショートステイを要介護4が利用する場合の847単位×3日で計算します。
・9/3~9/30は要介護4の定期巡回における日割り基礎単位703×28日計算します。
上記の合算単位に、各種加減算と地域区分を計上して算定していきます。
※単独型なのか併設型なのかにより、単位は変動

※ショートステイの利用期間中は定期巡回・随時対応型訪問介護看護との同時利用ができませんが、ショートステイからの退所日に関しては、定期巡回の提供が可能となります。

このため上記の例ではショートステイから帰宅した9/3に定期巡回サービスも利用したことが認められ、1日に2つの介護サービス利用の介護報酬を計上することができます。

ただし入所日(上記のケースでは9/1)は同時計上ができませんので、改めて注意が必要です。

ただしこの計算は、定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所を利用している時に限ったものとなります。

連携先訪問看護事業所を利用してサービスを受けている場合は、ショートステイ退所日のサービス利用が認められず、退所日翌日(上記の場合は9/4)にならないと介護報酬の日割り計算を計上することができません。

ショートステイを利用するケースがもっとも介護報酬の日割り計算が複雑になりますので、改めてルールを確認した上で、適切な介護報酬計算を行う必要があります。

月の途中で契約開始・契約終了となった場合

サービスの利用を始めるのが月の途中であったり、サービスの契約を終了するタイミングが月の半ばになった場合は、実際のサービス利用日数に基づいて日割り計算の対象となります。

ただし定期巡回・随時対応型訪問介護看護の契約終了にはクライアントの死去も含まれますが、こういったケースの場合は看取り加算や緊急時加算を計上することになりますので留意しておきましょう。

日割り計算と同時に覚えておきたい、初回加算

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用を始めた日から30日以内の間は、基本単位数に加えて「初回加算」と呼ばれる所定単位数が1日あたり30単位ずつ計上されます。

初回加算は、クライアントが定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用や環境に慣れるまでに必要となる説明の時間や手間を考慮した加算になっています。

純粋にサービスの利用を始める時はもちろんのこと、長期入院などに伴い一度サービスを解約し、30日を超えたあとに再度利用契約を結んだ際にも計上することができる加算となっています。

また初回加算は、月をまたいで計上することのできる介護報酬となっています。

月途中の契約に伴う日割り計算を行う場合には、同時に初回加算を計上することが多くなってきますので、日割り計算と初回加算はセットで覚えておくと安心です。

参考:日割り計算参考資料

定期巡回は日割りでの利用が可能になるイレギュラーのケースも。介護報酬の仕組みをしっかりと理解しておこう。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は月額で介護報酬が固定と定められているサービスですので、基本的には毎月一定の介護報酬に基づき、クライアントに利用料金が請求される仕組みとなっています。

ただし例外的に、介護区分の変更・ショートステイの利用・月途中での契約や解約に関しては日割り計算が可能となります。

改めて定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬について理解しておくと安心です。

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