定期巡回コラムシリーズ「定期巡回のリアルな働き方」Part3

定期巡回の大変なこと

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高浜将之

定期巡回で働く中で、大変だと感じられることは何ですか?

三ツ橋直人



やはり天候ですね。

定期巡回は1日に複数箇所を訪問するので、大雨だとどんどん容姿が乱れていきます。

車での移動も多いですが、それでも天候には左右されると思います。

常務取締役・高浜将之

定期巡回は24時間 365日の包括型のサービスで、かつ他のサービスを切って定期巡回にしているわけなので、こちらからキャンセルは簡単にできませんよね。

どんな天候でも基本的にはご利用者を支えなきゃいけないというのは、時にはアテンダント(ヘルパー)として非常に大変な思いをする時があると思います。

暑い夏でも雪が降っていても行かなければならないわけですが、台風などの際はどうですか?

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

今までは台風の際にも事前にキャンセルしたことはないですね。反対にスタッフが心配して、安否確認に行ったことはあります。

定期巡回でのやりがい

常務取締役・高浜将之

定期巡回で働いていて良かったと思うエピソードをお願いします。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

一つ目は、癌末期の方のエピソードです。少し状態が落ち着いているので、病院からご自宅に戻りたいというご依頼でした。

従来の訪問介護では24時間のサポートがないので戻れないけれど、定期巡回だったら戻れると。それで支援することができました。

支援自体は半月ほどで、また病院に戻ってお亡くなりになってしまったんですが、私たちのサービスで在宅復帰につなげられることをとても実感できますし、非常にやりがいを感じれると思います。

常務取締役・高浜将之

やはり多くの方が、「可能なら自宅で最期まで過ごしたい」と仰るんですよね。施設入居を選択する人も「家族に迷惑をかけたくない」というのが理由である場合も多いです。

人には帰巣本能があるので、家に帰るのは、何もそこに家があるからでなく、そこが巣だからなわけです。そこで最期を過ごしたいというのは本能的なものだと思うんですよね。

定期巡回はそれを可能にするサービスです。看取り期に、利用者さんやご家族から「定期巡回のあなたたちがいてくれるから自宅に戻れた」という声は多いですが、これは在宅に特化している包括型サービスだからこそできると思うんです。

例えば小規模多機能も在宅型の包括サービスですが、通所(デイサービス)とショートステイがメインなので、訪問介護が強い事業所は実際のところ多くありません。

そうした意味では、定期巡回は訪問特化型の包括型サービスだからこそ、看取り期の支援がしやすい環境だと思っていますし、それを可能にするのが定期巡回の魅力だと、改めて再認識できたと感じます。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

二つ目は、声掛けが自立につながったエピソードですね。認知症の方で、もともとは訪問介護の生活援助を週2回とデイサービスを利用されていましたが、デイサービスに行かず、支援の成立が難しかったようです。

定期巡回だとサービスの特性、複数回訪問できるので、こちらに変更されたということでした。

支援当初は、ご家族の想いとケアマネージャーのプランに沿って、デイサービスの送り出しのために朝の訪問からスタートしました。

けれど「今日はデイサービスの日ですよ、行きましょう」と言っても「そんなん聞いてない!」と仰るんですね。

ご本人は「この後、予定ある」とか、「聞いてないし、やることいっぱいある」という感じで、デイサービスの職員と一緒に、端から見ると無理強いの感もありながらデイサービスに送り出すという形で、何とか支援が成立していました。

けれど「これちょっといかんね」と職員間で協議していたんですね。その中で、あるスタッフが、声掛けの際の「聞いてない」というところにフォーカスしたんです。

そこで、デイサービスの日を記した張り紙をすることから始めました。もっとも、デイサービス自体をなかなか認識できていないので、「お出かけの日」と記載していました。その上で、前日から予定をお伝えしておき、当日に送り出しに行くと、もう準備もできている。

アセスメント通りに実行できたので、しばらくしてからは訪問ではなく、電話連絡に切り替えました。それもつつがなくでき、今では朝に電話一本、夜間帯に安否確認も含めて訪問させてもらっている形です。

もっともケアマネのご意向もあり、実際には必要はないのですが、デイサービスの送り出しの日は引き続き、一応訪問しています。

アセスメントをした結果、自立につながったという事例ですね。

常務取締役・高浜将之

もともとの訪問介護のサービスがご本人に合っておらず、定期巡回が入ったことで、ご本人の精神的ストレスも様変わりしたということだと思いますが、やはりご本人の“記憶障害”というところにアセスメントが注力された結果ですね。

つまり、「そんなの聞いてない」という言葉を拾ったわけですよね。介護現場でよくある不適切な事例が「あの人、認知症だから」で片付けてしまうことで、利用者さんの言葉を拾わず、「認知症だから忘れちゃう、だから何をしても仕方ない」となりがちです。

けれど、このエピソードでは、適切に言葉を拾い、そこにしっかりと焦点を当てて、事前の張り紙を行ったわけですよね。

逆に言うと、その人も自身のことがより見えてきて、適切な支援につながったと思います。

そういう意味でも、今の土屋の定期巡回では、素晴らしい流れができていると思いますね。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

三つ目が、ショートステイから一時帰宅の2泊3日の支援です。ショートステイはずっと入りっぱなしというわけにはいかず、出るにしても従来の訪問介護では夜間までは対応できないので、定期巡回を使いたいとのご依頼でした。

定期巡回は基本は1か月の契約ですが、その方はパーキンソン病患者で進行も早く、ご自宅に帰宅できるのが最後かもしれないとのことでお受けしました。お断りすると、そのまま老健に行かざるを得なくなってしまう可能性が合ったので。

事業所側からすると受け入れるときのマンパワーがかなり必要なので、ある他事業所からは「よく引き受けたね。

ボランティアだよね」と言われましたが、ご家族やケアマネージャーから「これがなかったら帰れなかった」ととても感謝されました。

経営だけで考えると赤字ですが、サービスとしては間違っていなかったと感じていますし、ご本人にも「帰れてよかった」と喜んでいただけたので、お受けして良かったと思っています。

常務取締役・高浜将之

働く側としては、2泊3日だけのためにアセスメントして、慣れない家に訪問するなど大変だったとは思いますが、こういう支援もがたまにあるのはいいですね。しかも、この方はリピーターになられたとか。

三ツ橋直人(定期巡回サービス土屋広島 管理者)

定期巡回ではなく、自費サービスで病院への同行をお手伝いしました。状態が分かっているからとのことでしたね。

介護の仕事を始めようと思われる方に

三ツ橋直人

私が初めて介護の仕事を始めた時に、当時の管理者に「介護の仕事は、今までどんな経歴だったとしても、必ず役に立つ仕事だ」と言われたんです。私は以前、大工でしたが、それでも役に立つと。

「ご利用者はそれぞれ色んな人生を歩んできている。だから自分自身の経験でコミュニケーションもできるし、それによって救われる人もいる」って。

「大工だと、壁が曲がっていたら、介護保険では直せなくてもアドバイスくらいできるしね」と。

無資格未経験、初任者研修で入職される方も、今までの経験・キャリアは無駄にならないどころか、むしろ様々な経験があるほうが高齢者介護には生きてくると思います。

まして在宅で向き合える定期巡回には、色んな経験をお持ちの方に是非来ていただきたいと思っています。

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