定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、自宅での生活を継続したいと望んでいる要介護者に対して、24時間365日提供される介護サービスです。
クライアントが必要としている介助を行う「定期巡回」、クライアントからのケアコールに対応する「随時対応」、ケアコールの内容によって適宜訪問を行う「随時訪問」、そして看護師による定期的な訪問である「訪問看護」のサービスで構成されています。
このうち定期巡回と訪問介護は、定期的にクライアントの自宅を訪問する介護サービスです。
今回は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護で提供される定期巡回と訪問看護の内容や回数について分かりやすくご説明していきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特徴
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、先ほどご紹介した通り24時間365日の居宅介護サービスとなっています。
利用した時間や回数に関わらず月額で介護報酬が定められていますので、クライアントも自己負担金の増加を気にすることなく、適宜サービスを利用することが可能となっています。
また必要な介護サービスを受ける回数の上限なども設定されていませんので、利用回数に関しても気兼ねなく利用が可能です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用する際の条件
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は誰でも利用できるわけではなく、介護保険制度によって利用条件が定められていますので、注意が必要です。
利用資格
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することができるのは、自治体による介護度認定によって「要介護」の認定を受けたクライアントに限ります。
65歳以上の高齢者であっても「要支援」や「非該当」と認定された場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することができません。
地域制限
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は介護保険制度において地域密着型のサービスに分類されており、事業所は所在地の市区町村の認定を受けることで初めてサービスを提供することが可能になります。
そのためクライアントも、居住する市区町村に認可された事業所しか利用することができません。
また1日に何回も居宅を訪問したり、緊急時の訪問があったりというサービスの特性上、基本的には事業所から30分以内で訪問可能な範囲などと、利用に条件が定められていることがほとんどです。
併用できないサービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、介護保険制度における訪問介護や訪問看護に該当するサービス内容と重複するサービスがいくつか提供されています。
そのため一部の居宅介護サービスとの併用ができない場合があります。
すでに利用している介護事業所が定期巡回・随時対応型訪問介護看護に対応していない場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護への切り替えのタイミングで事業所を変更しないといけない可能性もありますので注意が必要です。
定期巡回とは
定期巡回は、実務者研修や初任者研修を修了したアテンダント、もしくは介護福祉士の資格をもつアテンダントが、クライアントの自宅を訪れて介助を行う介護サービスです。
1回あたり10分から20分程度の短い訪問を1日に複数回行うことができます。
定期巡回で提供されるサービスの具体例の一部は、以下の通りです。
- 介助……入浴や排せつ、食事、体位変換などのサポート
- 家事……調理や洗濯、掃除など
- 健康管理……服薬の声かけ、水分補給の声かけなど
- 安否確認……健康状態の確認、異変がないかの確認など
実際に定期巡回が行われている回数
一般社団法人全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会の調査によると、平均的な定期巡回の利用回数は1日あたり3回から6回程度となっています。
実際に定期巡回を利用するにあたって、介助をお願いする回数はこの平均回数より多くても少なくても問題ありません。
ただし利用を希望する定期巡回の回数や内容によっては事業所が十分な人員を用意できない可能性があります。
また定期巡回は24時間体制でサービスを提供しているため、担当固定制ではなく、複数のアテンダントが入れ替わりサービスを担当することが一般的です。
訪問看護とは
訪問看護は、主治医の指示に基づいて看護師や准看護師がクライアントの自宅を訪問するサービスです。
退院したばかりのクライアントや、最期の時まで自宅で暮らしたいと考えているクライアントから特にニーズの高いサービスになっています。
訪問看護では療養の中で必要となってくるお世話や、必要とされる診療の補助などを行います。
さらにクライアントや家族からの相談を受けて助言することや、緊急時に医師の指示を受けて応急的な処置を行うことも認められています。
実際に訪問看護が行われている回数
訪問看護は医師の指示書に基づいて、サービスの提供回数や提供内容が決められています。
そのため点滴の回数や注射の回数などによって、看護師が訪問する回数はまちまちです。
必要な医療ケアの内容の変化によっては、訪問回数が増えたり減ったりすることもあります。
訪問看護は、利用しないことも可能
定期巡回・随時対応型訪問介護看護に含まれる訪問看護ですが、「主治医から医療的なケアの指示がない」「看護師のサポートが必要な持病等はない」という場合は、サービスを利用しないことも選択できます。
ただし定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用に伴い、看護師による定期的な経過観察(アセスメント)を受ける必要があります。
定期巡回や訪問看護の回数に悩んだ時は
クライアントの身体機能や認知機能、また病気の症状などは、年月とともに変化します。
そのためケアマネージャーや関係者による定期的なアセスメントが行われ、随時必要なサービス量に関しての見直しが行われています。
万が一家族の目線や、普段クライアントを訪問しているアテンダントの目線から気づいた変化などがあれば、随時ケアマネージャーと相談することで、訪問回数の調整にもつながります。
積極的に関係各所と連携を図りながら、クライアントにとって必要な定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供できる環境を整えていきましょう。