【定期巡回サービス土屋】届いた声、その先に。― クライアント・ご家族の声から見えるケア ―|第4回

定期巡回サービス土屋八王子 管理者・佐々木峻

「家にいたい」を、あきらめない。― 暮らしのそばで支え続ける、定期巡回サービス土屋八王子 ―

定期巡回サービス土屋の現場には、日々、クライアント(=利用者)やご家族、そして地域でともに支援に携わる方々から、さまざまな声が届いています。

その声の背景には、一人ひとりの暮らしや思いに向き合いながら、現場で積み重ねてきたケアがあります。

この企画では、クライアントやご家族、関係機関から届いた声をもとに、定期巡回サービス土屋の現場で育まれたケアを、管理者へのインタビューを通してご紹介します。

第4回は、定期巡回サービス土屋八王子の管理者・佐々木峻さん。

今回、佐々木さんが聞かせてくれたのは、3つのエピソードでした。

一人で暮らす寂しさに寄り添った日々。
「ずっと自宅にいたい」という思いを支えた時間。
そして、「最期まで自宅で過ごすのは難しい」と考えていたご家族との関わり。

1日の中で複数回、暮らしに関わりながら、ご本人やご家族だけでは難しいことを支えていく。
そんな日々の先に、こんな言葉が届きました。

「本当に土屋さんがいてくれてよかった。」

その言葉の背景にあったケアを、佐々木さんとともにたどります。

聞き手:高齢福祉事業部 副部長 小川力信
話し手:定期巡回サービス土屋八王子 管理者 佐々木 峻

第1章 顔を見た瞬間、涙があふれた ~1日3回の訪問がつないだ時間~

小川
まず1つ目の事例から聞かせてください。

佐々木
八王子に異動してから、最初に定期巡回で支援させていただいた方です。
お一人で暮らしている方で、毎日1日3回ほど訪問して、食事や服薬など、生活全般のお手伝いをしていました。

ご本人とはとても良い関係を築くことができていて、私たちにも気軽に接してくださいました。
ただ、その後、ご自宅での生活を続けることが難しくなり、施設へ入所されることになったんです。

小川
そこで定期巡回の利用はいったん終了したんですね。

佐々木
はい。その後、しばらくお会いできていなかったのですが、ある時、施設へ伺って、再会する機会がありました。

ご本人は、私の顔を見るとすぐに、
「ああ、来てくれたんだね。」
と言って、涙を流してくださったんです。

そして、
「一人ですごく寂しい気持ちだったけど、みんながいてくれたおかげで、自宅でも楽しく過ごせました。本当にありがとうございました。」
という言葉をいただきました。

小川
それはうれしいですね。

佐々木
本当にうれしかったです。
僕は普段、あまり感情的になる方ではないんですけど、その時は僕も大号泣してしまって。

改めて、「このサービスをやっていてよかったな。」と思いました。

小川
1日3回という関わりも大きかったのでしょうか。

佐々木
そう思います。お一人で生活していると、転倒への不安だったり、自分ではできなくて手伝ってほしいことだったり、いろいろなことが出てきます。

この方は「寂しい」という思いもケアマネジャーに伝えていらっしゃったので、訪問した時には、数分程度ではありますが、意識してコミュニケーションを取る時間もつくっていました。

定期巡回だからこそ支えられた部分はあったと思います。

食事を支える。
薬を確認する。
暮らしの中で困っていることに手を差し伸べる。
そして、ほんの数分でも言葉を交わす。

1回1回の訪問は短くても、1日3回、毎日のように顔を合わせ、言葉を交わしてきた時間がありました。

施設で再会した瞬間にあふれた涙と、「みんながいてくれたおかげで、自宅でも楽しく過ごせた。」という言葉。

そこには、日々の支援とともに積み重ねてきた、クライアントとアテンダントとの時間がありました。

第2章 「ずっと自宅にいる」 ~家族だけで抱えず、支えるということ~

小川
2つ目の事例をお願いします。

佐々木
この方は、入院からご自宅へ戻られた後に、定期巡回の支援が始まりました。
ほぼ寝たきりに近い状態で、ご自身で食事を召し上がることも難しかったため、毎日1日3~4回ほど訪問していました。

おしゃべりがとても好きな方で、私たちが訪問するといろいろなお話をしてくださいました。

小川
日々の支援の中で、ご本人との関係はいかがでしたか。

佐々木
私たちのことを「プロ」と言ってくださっていたんです。
支援も受け入れてくださっていて、介護を任せることに安心感を持っていただけていたのかなと思います。

小川
そして、ご本人には「自宅で暮らし続けたい」という思いがあった。

佐々木
はい。支援を始めた頃から、
「ずっと自宅にいる。」
という強い思い
を持っていらっしゃいました。

その思いを支えることは、私たちにとっても大切なことでした。
ご家族と暮らしていらっしゃいましたが、食事や排泄など、ご家族だけで担うことが難しい介助もありました。

そうした部分を私たちが支援していました。
そして最期まで、ご自宅で過ごされました。

小川
その後、ご家族から言葉をいただいたんですよね。

佐々木
はい。

普段はあまりお気持ちを言葉にされる方ではなかったのですが、ご逝去された後に、
「本当に土屋さんがいてくれてよかった。」
と言ってくださいました。

そして、
「自分だけでは難しいことも多かったけれど、いろいろと助けてもらって、自宅で最期まで一緒に過ごすことができた。」
というお気持ちも話してくださいました。

さらに、ご家族だけで行う予定だった葬儀にも、私たちに参列してほしいと声をかけてくださったんです。
実際には支援の都合もあって伺うことはできませんでしたが、そこまで言っていただけたことが、とても印象に残っています。

小川
日々の支援の中では、なかなか見えなかったご家族の思いが、最後に言葉になったんですね。

佐々木
そうですね。「そんなふうに思ってくださっていたんだ。」と、最後に実感しました。

家族だからといって、すべての介護を家族だけで担えるとは限りません。

難しい部分を専門職が支えながら、ご本人とご家族の暮らしをともに支えていく。

「ずっと自宅にいる。」
その思いを支えるために、定期巡回サービス土屋八王子は、日々の訪問を重ねました。

支援を続ける中では、なかなか言葉にならなかったご家族の思い。

それが最後に感謝の言葉となって届いた時、佐々木さんは初めて、これまでの関わりがご家族にどう受け止められていたのかを知りました。

第3章 「こんなサービスがあるなんて、知らなかった」 ~家族みんなで届けてくれた「ありがとう」~

小川
3つ目の事例をお願いします。

佐々木
この方も、病院から退院してご自宅へ戻られたタイミングで、定期巡回の支援が始まりました。

ご家族と一緒に暮らしていらっしゃいましたが、日中はお仕事などでご家族が不在になる時間もあったので、1日4回ほど訪問して、食事や排泄など生活全般を支援していました。

訪問看護も入っていたので、情報を共有しながら支援していました。

小川
ご本人には、ご自宅で過ごしたいという思いがあったんですよね。

佐々木
はい。

ご家族からも、
「本人は最期まで自宅にいたいという気持ちが強かった。」
と伺っています。

ただ、ご家族は最初、「寝たきりの状態で、自宅で過ごし続けることは難しいのではないか。」「最終的には病院へ行くことになるのではないか。」と考えていらっしゃったそうです。

定期巡回というサービス自体もご存じありませんでした。

小川
初めて知るサービスだったんですね。

佐々木
そうですね。
ご家族にとっては、ヘルパーが1日に何度も訪問すること自体が初めての経験で、最初は戸惑いもあったと思います。

実際に支援が始まってからは、訪問看護とも情報を共有しながら、ご自宅での生活を支えていきました。

ご本人とは言葉を交わすことが難しかったのですが、支援を終えて、
「また来ますね。」
と声をかけると、笑顔を見せてくださったことが印象に残っています。

そして最期まで、ご自宅で過ごされました。

小川
その後、ご家族が事業所まで来てくださったんですよね。

佐々木
そうなんです。ご家族皆さんで事業所まで来て、
「本当に助かりました。」
と言ってくださいました。

ご本人が望んでいた自宅での時間を過ごすことができたことについても、感謝の言葉をいただきました。

そして、
「こんなサービスがあるなんて知らなかった。こんなサービスがあるなら、他の人にも教えてあげたい。」
とも言ってくださったんです。

ご家族がそろって事業所まで来てくださったことにも驚きましたし、「頑張ってきてよかったな。」と思った瞬間でした。

「最期まで自宅にいたい。」
そう願っていても、身体の状態が変化し、必要な介護や医療が増えていけば、
ご本人だけでなく、ご家族にもさまざまな不安が生まれます。

このケースでは、定期巡回が日々の生活を支え、訪問看護とも情報を共有しながら、ご本人が望む自宅での時間を支えていきました。

そして支援が終わった後、ご家族は皆さんで事業所を訪れました。

最初は、名前さえ知らなかった「定期巡回」というサービス。
支援を終えた時、ご家族はその存在を「他の人にも伝えたい」と話してくださいました。

ご本人が望んだ自宅での暮らしを、定期巡回と訪問看護がそれぞれの役割から支えた日々。
その時間をそばで見てきたご家族から届いた、感謝の言葉でした。

第4章 暮らしの、すぐそばにいる ~3つの声から見えてきた、定期巡回の役割~

小川
今日の3つの事例には、共通するものがありますね。

1日の中で複数回訪問し、ご本人やご家族の暮らしに継続して関わっていく。
佐々木さんは、定期巡回の役割をどのように感じていますか。

佐々木
1日の中で複数回訪問することもあるので、クライアントやご家族との距離が近くなるサービスだと感じています。
一人で暮らしている方であれば、一人では難しいことや不安なことがあります。

ご家族と暮らしていても、ご家族だけではできないことがあります。
そういうところを継続して支えていけることは、定期巡回の大切な役割の一つだと思います。

小川
今回のように、ご本人やご家族からいただいた言葉は、佐々木さんにとっても大きいですか。

佐々木
はい。
今回のような言葉をいただけることは、僕自身のやりがいにもつながっています。

僕自身、管理者としてまだ経験を重ねているところですが、これからもクライアントやご家族の暮らしを支えられる事業所でありたいと思っています。

一人で暮らしている方にも。
ご家族と暮らしている方にも。
それぞれに、自宅で続けたい暮らしがありました。

その暮らしを支えるために、日々の訪問の中で、一つひとつの支援が重ねられていきました。

食事や服薬を支えること。
家族だけでは難しい介助を担うこと。
そして、ほんの少し言葉を交わすこと。

そうした日々の関わりが、クライアントの暮らしのそばにありました。

「家にいたい」を、あきらめない。
定期巡回サービス土屋八王子には、その思いに向き合い続けた日々がありました。

芦塚さんが管理者を務める「定期巡回サービス土屋 八王子」については、以下よりご覧いただけます。

全国の定期巡回サービス土屋の取り組みについては、こちらをご覧ください。

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