【定期巡回サービス土屋】届いた声、その先に。― クライアント・ご家族の声から見えるケア ―|第2回

定期巡回サービス土屋横浜港北 管理者・松長 聡

支えていたのは、家族の安心でした。三つの「ありがとう」が教えてくれたこと

住み慣れた自宅で暮らし続けたい。
それは、クライアント(=利用者)だけではなく、その暮らしを支えるご家族にとっても大切な願いです。

しかし、ご家族の中には、離れて暮らしていたり、毎日の介護に不安や負担を抱えていたりする方も少なくありません。

定期巡回サービスは、クライアントの暮らしだけでなく、その暮らしを支えるご家族の安心にも寄り添っています。

今回お話を伺ったのは、定期巡回サービス土屋横浜港北の管理者・松長 聡さん。

クライアントやご家族から寄せられた三つの「ありがとう」の背景には、それぞれ異なる物語がありました。

そこに共通していたのは、「目の前の支援」にとどまらず、クライアントとご家族が安心して暮らし続けられるよう、一人ひとりの思いに寄り添いながら積み重ねてきた日々のケアでした。

今回は、クライアントやご家族から届いた三つの声を通して、定期巡回サービス土屋の日々のケアをご紹介します。

聞き手:高齢福祉事業部 副部長 小川力信
話し手:定期巡回サービス土屋横浜港北 管理者 松長 聡

「お礼を言いたくて、お電話しました。」~ 一年後に届いた一本の電話 ~

小川
松長さんは、これまでクライアントやご家族から、さまざまなお言葉をいただいてこられたと思います。
その中でも、今も心に残っている言葉はありますか。

松長
一番最初に思い浮かぶのは、お看取りをさせていただいたクライアントの息子さんからいただいたお電話ですね。

サービスが終了して一年ほど経った頃だったと思います。
ある日、事業所へ電話がありました。

「父がお世話になりました。どうしても、お礼を伝えたくて電話しました。」そうお話ししてくださいました。

一年以上経ってから、改めてご連絡をいただけるとは思っていなかったので、本当に驚きましたし、とても嬉しかったですね。

小川
一年という時間が過ぎても、その時の支援を忘れずにいてくださったんですね。

松長
そうですね。
そのクライアントは、施設へ入所されるまでは、ご自宅で一人暮らしを続けておられました。

息子さんは離れて暮らしておられたので、毎日様子を見に来ることはできませんでした。
だから私たちは、訪問した時の様子をできるだけ丁寧にお伝えすることを大切にしていました。

小川
どのように伝えていたのでしょうか。

松長
土屋では、介護記録システムの「スマケア」を使っています。
私たちは訪問のたびに、その日のご様子や表情、食事や水分摂取の状況、小さな変化まで記録していました。

その記録は、職員同士で情報を共有するためだけのものではありません。

離れて暮らすご家族にとって、
「今日は穏やかに過ごせたんだ。」
「しっかり食事が摂れたんだ。」

そんな一日一日の様子を知ることができる、大切な安心にもなっていました。

小川
介護記録というより、ご家族とのコミュニケーションでもあったんですね。

松長
はい。
介護は、その場で支援をして終わりではないと思っています。

離れて暮らしているご家族にとっては、
「今日も変わりなく過ごせました。」という知らせそのものが安心につながります。

その積み重ねがあったからこそ、一年後にあのお電話をいただけたのかなと思っています。

サービスが終了してから一年。
「お礼を言いたくて、お電話しました。」
その言葉には、クライアントへの支援だけではなく、ご家族にも寄り添い続けた日々への感謝が込められていました。

離れて暮らしていても、大切な人を安心して任せることができた。
その思いが、一年という時間を越えて届けられた一本の電話だったのです。

「本当に土屋さんがいなければ、この家族は無理でした。」~「家全体を見てほしい」という願い ~

小川
二つ目のお話も、ご家族からいただいた言葉でしたね。

松長
はい。
二つ目は、ご夫婦で暮らしておられるクライアントのお話です。
最初は、ご主人が透析へ通われる日の送り出しと迎え入れをお手伝いするために、週三回のサービスから始まりました。

ご自宅には十八段ほどの階段があり、ご主人の歩行に不安があったためです。
お孫さんがキーパーソンでしたが、小さなお子さんを育てながらの生活で、毎日様子を見に来ることは難しい状況でした。

それぞれの生活がある中で、ご家族だけで見守り続けることには限りがありました。

小川
その後、支援が広がっていったきっかけは何だったのでしょうか。

松長
週三回の訪問を続ける中で、ご夫婦の暮らしの様子が少しずつ見えてきました。
お食事が十分に摂れているのか分からない。

ご家族だけでは日々の様子を十分に把握することも難しい。

そこでケアマネジャーさんから、
「できれば毎日入っていただけるとありがたい。」というご相談をいただきました。

私たちは、そのご相談を受け、毎日の訪問を始めました。
毎日伺うようになると、ご様子だけでなく、暮らしの中でさまざまな変化や課題が見えてきたんです。

郵便物や支払いに関する書類がそのままになっていたり、食事の状況が気になったり。

そこで今度は、
「ご家庭全体の状況も把握していただけたらありがたい。」
というご相談へと変わっていきました。私たちが支払いを代行することはありません。

ただ、必要な書類が届いていることや支払い期限などをお孫さんへお伝えすることで、ご家族が安心して対応できるよう情報共有を行っていました。

訪問介護では受け入れていただくことが難しかったと伺っていましたが、毎日少しずつ訪問を重ねることで、ご夫婦との信頼関係も築かれていきました。

ケアマネジャーさんやお孫さんからも、
「土屋さんにお願いしたい。」
という声をいただき、支援の幅も少しずつ広がっていきました。

その後、奥様も認知症により要介護認定を受けられたため、ご夫婦お二人を支える体制へと移っていきました。

こうした日々の積み重ねの中で、お孫さんからは、こんな言葉を掛けていただきました。

「本当に土屋さんがいなければ、この家族は無理でした。私たちのストレスも緩和されましたし、祖父母が家で暮らし続けられているのは、土屋さんのおかげです。」

その言葉は、「家全体を見てほしい」という最初の願いに、私たちが少しでも応えられていたことを実感する出来事となりました。

「これで何があっても大丈夫ね。」~「どうにかできないか」から始まった支援 ~

お看取りのお話を振り返る中で、本田さんは何度もこう話しました。
「うちのアテンダント、本当にいいんですよ。」

その一言には、管理者としてアテンダント一人ひとりを信頼し、誇りに思う気持ちが自然とにじんでいました。

小川
三つ目も、ご夫婦のお話でしたね。

松長
はい。
このご夫婦との関わりも、最初はとても小さな支援から始まりました。
ご利用いただいていたのは奥様です。

透析へ通われる日の送り出しと迎え入れを行うために、定期巡回サービスをご利用いただくことになりました。

一方、ご主人は当時まだ要支援だったため、定期巡回サービスをご利用いただくことはできませんでした。

それまで訪問介護などのサービスも利用されておらず、「ヘルパーさんは嫌がるかもしれない」と伺っていたので、私たちも最初は少し緊張していました。

でも、実際に訪問すると、ご夫婦ともとても穏やかな方で、毎日の訪問を自然に受け入れてくださいました。

小川
そこから毎日訪問するようになり、ご主人のことも見えてきたんですね。

松長
そうですね。
ご主人は目が不自由で、お薬の管理も難しい状況でした。
ある時、ご主人の体調が急に悪くなったことがありました。

奥様は定期巡回サービスをご利用されているので、ご自身のことであれば随時コールを押していただけます。

でも、その時のご主人は定期巡回サービスの対象ではなかったため、ご主人のことで私たちを呼ぶことはできませんでした。

毎日訪問しているのに、困っているご主人に十分な支援ができない。
目の前の困りごとに気付いても、できることには限りがありました。

小川
そこで、自費契約という方法を考えられたんですね。

松長
はい。
私一人で考えたわけではありません。

当時のマネージャーとも相談しましたし、アテンダント(=介護職員)からも、
「どうにかできないでしょうか。」
という声が上がっていました。

定期巡回サービスでは対応できなくても、自費契約であれば、ご主人にも安心してご相談いただける体制を整えることができます。

そこで、ケアマネジャーさんを通してご家族へご提案しました。

小川
ご家族はどのような反応でしたか。

松長
奥様はすぐに、
「絶対あなたも持ってた方がいいわよ。」
と、ご主人に勧めてくださいました。

娘様からも、
「そんなサービスがあるなら、ぜひお願いしたいです。」
というお返事をいただきました。

契約の日には、
「これで何があっても、まずは土屋さんに連絡できるから大丈夫ね。」
と安心されたご様子が、とても印象に残っています。

実際には、随時コールを使う場面はほとんどありませんでした。
それでも、「困った時には相談できる」という安心が、ご夫婦とご家族を支えていたのだと思います。

小川
スタッフの皆さんも安心されたのではないですか。

松長
そうですね。
毎日訪問しているので、ご主人に何かあっても十分に手を差し伸べられないことに、みんな歯がゆさを感じていました。

だから、自費契約が始まった時には、
「これで、必要な時に迷わず支援できる」という声が上がりました。

誰か一人の判断ではなく、マネージャーも、アテンダントも、
「このご夫婦にとって、今できる一番良い支援は何だろう。」と考え続けた結果だったと思います。

その後、ご主人も要介護となり、定期巡回サービスをご利用いただくことになりました。
奥様が体調を崩された際には、一時的に訪問回数を増やし、ご家族とも連携を取りながら支援を続けました。

奥様が旅立たれた日。
松長さんがご自宅へ到着した、そのわずか一分後に息を引き取られたそうです。

後日、ご家族はこう話してくださいました。
「松長さんが来たから、安心して旅立ったんだね。」

また、ケアマネジャーからは、
「今までサービスに入ることが難しかった方でしたが、定期巡回サービス土屋横浜港北の皆さんと関わることができて、本当に良かったです。」
という言葉も寄せられました。

奥様の
「これで何があっても大丈夫ね。」という言葉。

そして、ご家族から届いた
「松長さんが来たから、安心して旅立ったんだね。」という言葉。

その二つの言葉は、ご夫婦に寄り添い続けた日々への、何よりの励ましとなりました。

届いた声が教えてくれたこと ~ 支え合うことで生まれる安心 ~

小川
三つの事例を伺っていて感じたのは、どのお話にもご家族やケアマネジャー、そしてアテンダントの皆さんが登場していたことです。

松長さんにとって、定期巡回サービスとはどんな仕事なのでしょうか。

松長
定期巡回サービスは、本当にチームで支えていく仕事だと思っています。
同じクライアントでも、関わるアテンダントが違えば、気付くことも違います。

横浜港北では、その気付きや経験を日頃から共有しながら、
「もっと良い支援ができないか。」
をみんなで考えています。

一人では思いつかないことも、誰かの気付きが新しい支援につながります。
だからこそ、チームで支えることが定期巡回の大きな強みだと思っています。

三つの事例に共通していたのは、
目の前のクライアントやご家族に向き合い、「どうにかできないか。」と考え続ける姿勢でした。

その思いは、アテンダントだけではありません。
ケアマネジャーやご家族とも相談を重ねながら、その時、その方にとって一番良い方法を探し続ける。

そんな日々の積み重ねが、少しずつ信頼を育てていったのだと思います。
だからこそ、

「お礼を言いたくて、お電話しました。」
「本当に土屋さんがいなければ、この家族は無理でした。」
「これで何があっても大丈夫ね。」

そんな言葉が、ご家族から自然と生まれました。

届いた声の先には、いつも誰か一人の頑張りではなく、クライアント、ご家族、ケアマネジャー、そしてアテンダントが支え合いながら築いてきた日々があります。

その一つひとつの積み重ねが、クライアントとご家族の「安心して暮らし続けられる日常」を支え、今回届いた三つの声へとつながっていました。

用語解説

スマケア……定期巡回サービス土屋で使用している介護記録システム。訪問時の支援内容やクライアントの状態などを記録・管理しています。

松長さんが管理者を務める「定期巡回サービス土屋 横浜港北」については、以下よりご覧いただけます。

全国の定期巡回サービス土屋の取り組みについては、こちらをご覧ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!