年齢を重ねるごとに衰える身体機能や認知機能の低下、認知症の発症などがみられるようになると、これまでと同じように自分自身だけの力で自立した生活を送ることが難しくなってきます。
特に昭和以前の家族構成とは違い、核家族化と夫婦共働きの傾向が加速する日本では、高齢の夫婦のみで暮す世帯や単身世帯が急増しており、介護サービスを受ける必要があるクライアントの数が増加傾向にあります。
そこで今回は初めて介護サービスを利用したいと思ったときに、介護を受ける方法についてご紹介してまいります。
初めて介護サービスの利用を自分や家族が検討している方にはとても参考になる内容となっていますので、どうぞ最後までご確認ください。
介護サービスを受ける方法
介護サービスは、2000年にスタートした介護保険制度に基づいて提供されるサービスの総称です。
介護が必要な状態にあるクライアントの困りごとを解消し、日常生活を送ることをサポートする役割を担っている、今の日本に欠かすことのできない社会的インフラのような存在といえます。
介護保険制度を利用するとクライアントの状況に応じて必要な内容や量の介護サービスを受給することができるようになります。
また利用料金も基本的には自己負担1割で利用することが可能で、家計的にも安心して介護サービスを受けることが可能になります。
介護保険制度を利用するためには、居住する自治体の介護認定調査を受けて、介護が必要な状態にあると認定されなくてはいけません。
介護サービスを受ける手順①自治体への申請
まずは介護認定調査によって、クライアントが介護を必要としている状態であることを認定されなくては、介護サービスを受けることはできません。
介護サービスを利用したいと考えたときはまず、自治体の窓口や地域包括ケアセンターを訪れて介護度認定調査を希望している旨を伝えるとともに、必要な書類を提出する必要があります。
介護サービスを受ける手順②訪問による介護度調査
介護サービスを受けたい旨を記した書類が受理されると、自治体から認定調査員がクライアントの自宅に派遣されてきます。
認定調査員はクライアントが自宅でどのように過ごしているのかを確認し、簡単な質疑応答を行うことで、クライアントに介護サービスが必要であるか、またどの程度の介護サービス量を必要としているかを確認していきます。
質疑応答は、国の基準に基づいて74項目から構成されていて、身体機能・生活機能・認知機能・精神・行動障害・社会生活への適応を確認する内容です。
また口頭での質疑応答だけでなく、立って歩く様子の確認・足がどの程度上がるのかの確認などが行われます。
また認定調査ではクライアントの様子のみから介護保険制度の適用にふさわしいのかを確認するのではなく、クライアントの家族とも面接を行います。
家族が気付いている日常生活のなかでの異変や困りごと、身体機能や認知機能が低下してきたと考えられる部分に対する確認を行います。
介護サービスを受ける手順③主治医の意見書を確認する
介護認定調査を依頼する際に自治体の窓口に提出する書類のなかには、主治医による意見書が必ず指定されています。
この意見書は全国で統一された様式のものが採用されており、心身に生じている障害の原因と予測される疾病、また現在の心身の状態と、生活する上での機能や特記事項など、細かい部分まで医師の立場からの見解を記述しなくてはいけません。
主治医とは日頃から積極的に意見を交わし、クライアントの状態を正しく記入してもらえるように情報共有を図りましょう。
介護サービスを受ける手順④介護認定審査会の結果を待つ
認定調査員が実際の認定調査によって算出したデータ・特記事項に関する書類・主治医の意見書が揃うと、介護度認定審査会による審議で、要介護度の決定が行われます。
要介護度は、非該当・要支援1〜2・要介護1〜5の8段階に分類されますが、非該当と判断された場合は介護保険サービスを利用することができません。
また要支援・要介護では利用できるサービスに差や時間に差があります。
要支援と要介護の違い
介護認定によって要支援1もしくは2と認定された場合は、一般的にイメージされる介護サービスではなく、介護予防サービスの利用が中心となります。
具体的に株式会社土屋が提供している介護サービスを例に、確認してみましょう。
デイサービスの利用
デイサービスは、デイサービスを提供している事業所までクライアントが送迎車で通い、平日の日中8時間程度を事業所内で過ごすスタイルの介護サービスです。
通所型サービスの代表格であり、皆さんも生活のなかで「デイサービス」と書かれた送迎車や施設を見かけたことがあるのではないでしょうか。
デイホーム土屋でも地域密着型通所介護として日本各地にデイサービス事業所を展開していますが、一般的にデイサービスは要介護1以上と認定されたクライアントを対象とした介護サービスとなります。
しかしながら例外的にデイサービスを要支援1〜2で受ける方法として、介護予防通所介護に該当する施設に通うということが可能です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、月額固定制で利用可能な介護サービスで、株式会社土屋グループでも定期巡回サービス土屋として日本全国に事業所を展開しています。
24時間365日体制で回数制限なく利用可能な定期巡回サービス・随時対応サービス・随時訪問サービスと、訪問看護を利用することができますので、身体介護や生活援助を1日に何度も利用したい方や、緊急時の見守り体制がしっかりとしている介護サービスの利用を行いたいというクライアントからのニーズがとても高くなっています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することが認められているのは、要介護1以上のクライアントに限られます。
要支援のクライアントでは定期巡回・随時対応型訪問介護看護を受ける方法がありませんので、事前に確認しておきましょう。
希望の介護サービスを受ける方法を確認し、早めの申請を
要介護認定の申請から認定までは、自治体によって差がありますが1ヶ月〜3ヵ月程度の時間がかかります。
介護区分が決定するまでに確認しておきたいのが、利用を希望する介護サービスや介護事業所の空き状況です。
先ほどご紹介した小規模通所介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの一部の介護サービスは地域密着型サービスに該当しますので、居住する自治体に所在する事業所からしかサービスを受ける方法がありません。
介護認定の結果を待ちながら、クライアントの健康状態やライフスタイルを踏まえて、利用を希望したい介護サービスの事業所への問い合わせを行っていきましょう。