定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、地域包括ケアシステムの柱として、2012年からサービスの提供が始まっています。
比較的新しい介護保険制度であることから、まだまだサービスの内容や料金の仕組みについて分からないことが多いと感じているクライアントや家族の方も多いです。
今回の記事では、月額の固定制で利用することのできる定期巡回の料金システムに関しての基本情報と、初回加算の適用条件について分かりやすく説明していきます。
手元の介護報酬明細の見方がよく分からないとお悩みのクライアントや家族の方はもちろんのこと、定期巡回で働くアテンダントもよく質問を受ける項目である初回加算について詳しくご紹介していきますので、改めて確認しておきましょう。
定期巡回の料金システム
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は他の一般的な介護保険サービスとは異なり、月額制で利用することのできる介護サービスです。
サービスの利用回数や利用時間によって料金が変動するのではなく、クライアント自身の介護度によって基本の単位数が決まっていますので、料金を気にすることなく本当に必要な量のサービスを利用することができる仕組みとなっています。
定期巡回の介護報酬を計算する方法
定期巡回を利用する際の料金は、以下の計算式で算出することができます。
- (基本単位±各種加減算)×地域区分=介護報酬
- 介護報酬×自己負担割合=クライアントの自己負担額
上記の計算式のうち、基本単位は要介護度と、訪問看護サービスの利用有無によって全国一律で単位数が定められています。
また地域区分に関しても、居住している自治体によって一律に比率が制定されている状態です。
そのため定期巡回の介護報酬を算出するなかでは、各種加減算が非常に重要な意味をもってくるのです。
介護保険度における加算・減算とは
介護報酬制度における加算・減算は、主にサービスを提供する事業所の体制によって定められた介護報酬構造の項目です。
具体的にはどのような加算や減算があるのか、確認していきましょう。
加算
基本単位数にプラスで計上することのできる項目です。
具体的には、資格保持者や従事年数の長いアテンダントの配置基準を満たしている・配置基準よりも多くのアテンダントを配置している・中程度や重度のクライアントの受け入れ体制が整っている等、質の高い介護を提供している場合に、加算の対象となるケースが多くなっています。
減算
減算は、定期巡回事業所が提供するサービスが基準に到達していないと判断される場合、もしくはクライアントがなんらかの理由でサービスを利用しなかった場合に、基本単位数からマイナス計算を行うための項目です。
人員配置基準を満たしていない日数が存在したり、サービス提供体制が整っていなかったりすることによる減算、クライアントが通所サービスを利用したことに伴う減算などが、その具体的な例となります。
定期巡回の初回加算とは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、初回加算の名目で1日あたり30単位を加算することが可能となっています。
初回加算の項目が明細書に記載されている場合、1日あたりの自己負担金が約33円程度加算されることになりますが、どのようなケースに該当すると、初回加算の計上対象となるのでしょうか。
初回加算が適用されるケース①定期巡回の新規利用
定期巡回事業所と新規で契約した場合は、アテンダントによるレギュレーションの確認があったり、レクチャーがあったりと、純粋な定期巡回サービスの提供以外にも手間や時間が必要になることが多々あります。
また新規のクライアントに対するモニタリングや支援計画等の作成も必要です。
そのため定期巡回事業所と新規で契約を行った場合は、初めて定期巡回を利用した日から起算した30日間が初回加算の計上対象期間です。
初回加算の注意点
定期巡回の新規利用に伴う初回加算の計上は、必ず30回加算できるわけではありません。
例えば9月1日より定期巡回の利用を開始した場合、通常ですと9月30日までの30日間にわたって初回加算を計上することができます。
ただし9月中に3泊4日のショートステイを利用した場合は、ショートステイに宿泊した3日間に関しては定期巡回を利用することができません。
そのため基本単位自体も減算になりますが、初回加算も最大で27日分しか計上できないというルールになっています。
あくまで初回加算の対象期間が30日設定されているうちの、実際に定期巡回を利用した日数のみしか初回加算の計上対象となりませんので注意しましょう。
初回加算が適用されるケース②長期入院後
クライアントが何らかの事情によって30日以上の長期入院をしていた場合も、初回加算の対象です。
定期巡回サービスの契約中に入院した場合、入院した日に関しては定期巡回のサービス提供や加算の計上を行うことができず、退院日からサービスの提供をカウントすることができます。
初回加算に関しても、退院日から起算した30日以内が計上の対象となりますので、しっかりと確認しておきましょう。
初回加算が適用されるケース③再契約後
クライアントが利用していた定期巡回事業所との契約を解除した後に再契約した場合は、初回加算の対象となります。
介護報酬のミスに気付いたら?
介護報酬の明細書を確認している時に「この期間は初回加算の対象外なのでは?」と気付いたり、反対に「初回加算がついていないけれど、大丈夫なのかな?」と感じた際は、速やかに定期巡回事業所の責任者まで連絡をしましょう。
介護報酬の算定に誤りがある場合は「過誤請求」に該当しますので、事業所が速やかに市区町村との協議を行い、正しい介護報酬の請求を行う必要があります。
特に定期巡回の事業所としては過誤請求が発生してしまった場合、市区町村から支払われるべき報酬の振込が遅くなってしまい、最悪の場合は経営上に大きな支障を与えてしまうという恐れもあります。
またクライアントにとっても正しい請求が行われていない場合は、家計にとって不利益を被ってしまっている場合があります。
改めて介護報酬の明細はしっかりと確認し、不明点については随時確認を行いましょう。
定期巡回の初回加算は期間に注意が必要!分からないことは事業所に相談してみよう
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の料金についてと加算減算の仕組み、そして特殊な加算である初回加算についてご紹介いたしました。
初回加算に限らず、介護報酬明細書を確認してもいまいち納得のできない項目がある場合は、定期巡回事業所のなかでも管理者に相談したり、または担当のケアマネージャーに相談してみてくださいね。
なお定期巡回サービス土屋では、日本各地で定期巡回の連携型事業所を展開しており、住み慣れた自宅での生活を継続したいというクライアントや、最期の時まで自宅で家族と過ごしたいというクライアントの想いが尊重される社会の実現に貢献しています。
初めて定期巡回を利用するクライアントにとっても初回加算をはじめとする様々な加算・減算についてや料金全体についても分かりやすく説明してまいります。
今後も日本全国に定期巡回事業所を拡大していく予定ですので、お気軽に定期巡回サービス土屋までお問い合わせください。