介護が必要な状態と認定されていても、自宅で自立した生活を続けるクライアントを支える介護保険サービスが、地域密着型サービスです。
特に地域密着型サービスのなかでも「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とよばれるサービスは、クライアントの自宅を訪問し、介護サービスや見守り体制を提供する、月額制のサービスです。
月額制で24時間365日体制のサービスが提供されていることからクライアントにとって負担が少なく、安心感が大きいサービスとなっています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用料金を算出するもととなる「介護報酬」は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供している事業所が「連携型」に該当するのか、「一体型」に該当するのかによって異なります。
また一体型事業所の場合も、訪問看護の利用有無によって、介護報酬に差が生じます。
今回は定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供している連携型や一体型の事業所について詳しくご紹介するとともに、介護報酬の違いについてもご説明していきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期巡回・随時対応・随時訪問・訪問看護という4つのサービスによって構成される、地域密着型の介護保険サービスです。
自治体による介護度認定で、要介護1から要介護5までに認定されたクライアントが24時間365日利用することが可能となっています。
定期巡回サービス
クライアントごとに作成された訪問介護計画書に基づいて提供される介護サービスです。
ホームヘルパーがクライアントの自宅を訪問し、1回15分から20分程度の短いサービスを1日あたり3回から5回程度提供します。
提供するサービスの内容は、食事・入浴・排せつなどの介助、内服薬の服用チェック、安否確認などが中心です。
随時対応
クライアントの自宅に通信機器を設置して、緊急時にオペレーターへつながるシステムを提供するサービスです。
自宅での転倒や健康状態の異変などについて、24時間365日体制での相談が可能です。
随時訪問
随時対応に相談して「緊急の訪問が必要」と判断された際に、アテンダントがクライアントの自宅を訪問するサービスです。
あくまで随時対応での判断に基づいて提供されるサービスのため、必ず訪問を受けられる訳ではありませんが、随時対応同様に24時間365日の対応体制が整備されています。
訪問介護
ホームヘルパーではなく、看護師もしくは准看護師がクライアントの自宅を訪問し、医師の指導に基づいた療養上のケアと、診療の補助を行うサービスです。
自宅で最期を迎えたいという希望をもつクライアントに対する看護も担当することができます。
訪問看護を希望しない場合でも、定期的なアセスメント(経過観察)は実施されます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供する事業所
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護保険制度の中でも地域密着型サービスに該当し、市区町村の管轄となります。
そのため定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供する事業所は、市区町村による認可を受けた、以下の形態をとる事業所に限られます。
- 一体型定期巡回事業所
- 連携型定期巡回事業所
どちらの事業所も定期巡回・随時対応型訪問介護看護に分類される地域密着型サービスですが、どのような違いがあるのでしょうか。
一体型定期巡回事業所
一体型定期巡回事業所は、定期巡回事業所のうち、看護師もしくは准看護師が2.5名以上配置されている事業所のことです。
同じ事業所内に看護師とホームヘルパーが在籍していることから、介護と看護が一体となってサービスを提供することが可能です。
連携型定期巡回事業所
連携型定期巡回事業所は、定期巡回事業のみを提供している事業所のことです。
地域にある訪問看護事業所の中でも、緊急時訪問看護加算を算定することができる「指定訪問看護事業所」とよばれる看護事業所とが連携契約を結ぶことで、それぞれの事業所が専門性の高いサービスを提供できるという特徴があります。
利用する事業所による、介護報酬の違い
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用する事業所の形態によって、介護報酬が異なります。
また一体型事業所の場合は、訪問看護を利用するか否かによっても、介護報酬が異なります。
以下は要介護度2のクライアントが定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用した場合の、1カ月あたりの自己負担額の一例です。
自己負担金は1割、サービスを提供する地域は8級地と仮定します。
介護報酬の例①一体型事業所で訪問介護と訪問看護を利用した場合の参考自己負担額は【12,985円】
看護師とホームヘルパー(介護士)がどちらも在籍している事業所で、訪問介護と訪問看護のサービスをどちらも利用した場合は、自己負担額が約13,000円となります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は月額制での利用になりますので、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用に関する他の介護報酬は発生しません。
介護報酬の例②一体型事業所で訪問介護を利用し、訪問看護を利用しない場合の参考自己負担額は【10,168円】
訪問介護と訪問看護をどちらも提供している事業所を利用しながらも、訪問看護のサービスが不要という場合は、訪問看護分の介護報酬が減算されます。
自己負担額は先ほどよりも2,000円ほど抑えられ、一カ月あたり10,000円程度の支払いとなります。
介護報酬の例③連携型事業所で訪問介護のみ利用した場合の参考自己負担額は【10,168円】
こちらは先ほどご紹介した「介護報酬の例②」と同様、訪問介護による定期巡回サービスを利用するものの、訪問看護は不要なクライアントを想定した金額となっています。
介護報酬の例②のケースと同じく訪問介護サービスの利用になるため、介護報酬に違いはありません。
介護報酬の例④連携型事業所で訪問介護を利用し、提携先から訪問看護も受けた場合の参考自己負担額は【10,168円+2,954円】
ホームヘルパーのみが在籍している連携型事業所を利用し、さらに提携先の事業所からも訪問看護を受けた場合の参考金額は、13,122円となっています。
一体型事業所で介護・看護サービスを両方利用した場合よりも100円あまり自己負担金額が増す計算です。
ちなみにこの場合、介護報酬や加算の算定は連携先訪問看護事業所が担当することと定められています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬は、事業所が連携型か一体型かをチェック
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、自立した日常生活を自宅で送り続けたいと希望しているクライアントにサービスを提供する制度です。
1人でも多くの希望者に定期巡回・随時対応型訪問介護看護が行き届くよう、現在は連携型事業所と一体型事業所という2つのスタイルで、地域密着型サービスを提供しています。
今後も定期巡回・随時対応型訪問介護看護に関する法改正は順次進んでいくことが予想されますが、改めて定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容や介護報酬について学び、クライアントやご家族に安心していただけるように理解しておくことは非常に重要です。
「もっと定期巡回・随時対応型訪問介護看護について知りたい」という方や「定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供するアテンダントになりたいという方は、ぜひお気軽に定期巡回サービスまでお問い合わせください。