定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間365日体制で提供される地域密着型の介護保険サービスです。
特に定期巡回・随時対応型訪問介護看護の要となる定期巡回サービスは、一日当たりの利用回数の制限がなく、認められた必要量のサービスが昼夜・休日を問わず利用できることから、自宅で暮らすクライアントに需要の高いサービスです。
定期巡回はサービスの提供体制の都合上、1人のクライアントに対して固定のアテンダントがつくのではなく、複数のアテンダントでサービスを提供していく必要があります。
そのためアテンダント間での情報共有や、クライアントに適切なサービスが提供されているのかを確認する上で、サービスの提供記録をつけていくことが非常に重要になってきます。
今回の記事では定期巡回のサービスを解説していくとともに、記録の重要性についてご説明していきます。
定期巡回は24時間体制の訪問介護サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を構成する4つのサービスのうち、クライアントと最も接する時間が長く、クライアントの日常をサポートするうえで欠かすことのできないサービスが定期巡回です。
定期巡回では1回あたり15分程度の短い訪問を行い、クライアントが必要としている日常生活上の介助を行います。
具体的な介助の内容はクライアントによってまちまちですが、代表的なサービスは以下の通りです。
- 食事の世話
- 排せつの世話
- 服薬の確認と記録付け
- 掃除や洗濯の代行
- 安否確認
- 体位変換
- 水分補給の声かけ
- 戸締りの確認
クライアントは必要量のサービスを固定月額制で利用することができますので、「要介護状態にあるけれどなるべく自宅で過ごし続けたい」という方の費用に関する不安感を軽減することが可能です。
またサービスの提供時間に制約がなく、年中無休で24時間いつでもサービスを利用することができますので、単身世帯や家族が働きに出ている世帯に暮らすクライアントも安心することができます。
定期巡回のサービス提供体制
定期巡回サービスは、クライアントの自宅がある地方自治体から認可を受けた定期巡回事業所が提供するサービスです。
定期巡回事業所にはホームヘルパーに該当する訪問介護員が在籍し、事業所と契約している複数のクライアント宅を巡回しながらサービスを提供します。
サービスの利用頻度はクライアントによってまちまちですが、24時間体制のサービス提供を行っていますので、クライアントに対して1人の専属担当アテンダントが固定されることはまずありません。
従って定期巡回サービスは、複数のアテンダントで提供されることが一般的です。
定期巡回記録の重要性
先ほどご紹介した通り、定期巡回サービスは複数のアテンダントによってクライアントをサポートするサービスです。
そのため「どのアテンダントが何時にクライアント宅を訪問したのか」「前回の訪問時に異常はなかったか」「ケアプランに沿ったサービスが提供されており、現行のケアプランに問題はないか」などの点をアテンダントや事業所全体で把握し、管理していく必要があるのです。
定期巡回の記録に記すこと
定期巡回の記録は、誰がみても実際に提供したサービスとクライアントの様子がわかるように記す必要があります。
質の高い介護サービスを提供するために、事業所内で書式や記録の残し方を統一しておきましょう。
定期巡回の記録①サービスの提供日時
まず一番大切なことは、サービスの開始時間を記録することです。
クライアントの自宅に到着した日時を正確に記しておきましょう。
また基本的なことではありますが、誰が定期巡回サービスを行ったのかについても確実に記録として残しておく必要があります。
毎日記録を残していくなかでついつい忘れがちな部分ではありますが、基本的な項目の記録から徹底していきましょう。
定期巡回の記録②提供したサービスの内容
次に大切なのは、実際に提供した定期巡回サービスの記録です。
特に排せつに関する記録・食事や水分補給に関する記録・服薬に関する記録は、クライアントの健康に直結する重要な記録となります。
次に定期巡回に訪れたアテンダントの参考にもなりますので、必ず記録しておく必要があります。
その他にもどの向きから体位変換を行ったのかや、予定していたけれど断わられたサービス（例えば洗濯や掃除など）があった場合も、申し送りとして記録しておくと安心です。
定期巡回の記録③気付いたこと
定期巡回サービスが該当する介護保険制度上、アテンダントはクライアントの話し相手になるというようなサービスを提供することはできません。
しかしながら定期巡回を提供する上で「体調に変わりはありませんか」「なにか不安なことはありますか」といった声かけは当然行う必要があります。
クライアントから「最近少し乾燥が気になって喉が痛い」や「使用している下着がかゆい」といった声があった場合などはその旨を記入し、定期巡回サービスの質を向上させることができるよう、事業所内で共有していきましょう。
定期巡回の記録は大変？
定期巡回は、地域内の複数のクライアント宅をアテンダントが巡回しながらサービスの提供を行っています。
基本的にアテンダントは車で移動することが一般的かと思われますが、それでも複数のクライアントに対する帳簿や記録用紙を持ち運び、正確に記録していく作業は大変な部分もあります。
事業所内で話し合い、記録用紙への記入時間を考慮した定期巡回のスケジュールを組む・記録用紙に書く項目に悩まないような内容を考える・記録に関する一連の業務をデジタル化するなどの対応を取り入れ、アテンダントが過度の負担なく記録を残すための時間を確保できるよう、調整していく必要があります。
定期巡回の記録を大切にすることで、より質の高い定期巡回サービスの提供を実現しよう
定期巡回サービスの基本的な形や、定期巡回サービスの提供記録を残すことの重要性についてご紹介いたしました。
定期巡回は、自宅で暮らし続けたいと願うクライアントの生活に寄り添うサービスです。
自宅を訪問して気付いたことや提供したサービスの内容に関しては正確に記録し、よりよい定期巡回を提供するために活用していきましょう。
