訪問介護でターミナルケアを担当するということ。研修と情報共有でよりよい介護を。

最期のときまで自分らしく過ごしたいと希望するクライアントに対して提供されるのが、ターミナルケアです。

終末期の痛みや不安、ストレスなどを和らげることによって、クライアントが高いQOL(生活の質)を感じながら人生の最期を楽しんで過ごすことができるように、医療・介護・看護が連携して、クライアントと家族を支えていくためのサービスとなっています。

高齢や認知症を理由に介護を必要としているクライアントに向きあう訪問介護では、クライアントの死や終末期は、必ず向き合わなくてはいけない問題ですが、突然ターミナルケアを任されると、戸惑ってしまう方が多いかと思います。

そこで今回は、訪問介護のアテンダントとして学んでおくべきターミナルケアの概要について、実際に定期巡回土屋が行っている社内の研修内容を含めてご紹介していきます。

ターミナルケアを提供する上では、専門の研修を行ったり、アテンダント同士で情報共有をしながらクライアントと家族に向き合う必要があります。

ターミナルケアについての知識を学ぶことで、介護業界でのステップアップやより質の高い介護サービスの提供につながりますので、一緒に頑張っていきましょう。

目次

ターミナルケアと看取りケアの違い

ターミナルケアと看取りケアは、どちらも終末期に提供される介護サービスです。

混同されがちなサービスではありますが、以下のような違いがあります。

  • ターミナルケア……点滴や酸素注入などの医療的ケアを中心に、自分らしい旅立ちをサポートする
  • 看取りケア……食事や排泄などの日常生活における介護を中心に、自分らしい最期を迎えられるようサポートする

ターミナルケアは医療主導、看取りケアは介護主導と覚えておきましょう。

ただしどちらの場合も、病気や高齢に伴う諸症状を根本から治療し、完治を目指しているわけではありません。

病気に関しては積極的なケアを行わない、つまり延命を目的とした治療を行わず、残りの日々を充実させることがサービス提供の目的になります。

したがってターミナルケアと看取りケアは、クライアントと家族の同意なく提供されることは絶対にありません。

訪問介護とターミナルケア

訪問介護では、認知症や高齢を理由に介護サービスを必要としながらも自宅での生活を希望している65歳以上のクライアントに対して、訪問型の介護サービスを提供します。

特にターミナルケアにおいては、末期のがんなど特別な病気を発症したことによって介護保険制度で第2号被保険者に該当すると認定された40歳以上のクライアントからの需要も高く、自宅で要介護クライアントが生活を続けるためになくてはならないサービスとなっています。

サービスの提供内容は、通常の訪問介護と同様に身体介助と生活支援となりますが、特にターミナルケアの場合は精神面のケアと社会面に対するケアも必要になってきます。

身体面のケア

通常の訪問介護と同様に、食事や排泄、入浴もしくは清拭の介助や体位変換など、日常生活を送る上でクライアントが困難を感じている部分の動作をサポートします。

また痛みの緩和を行う訪問看護と連携し、食事がとれなくなった際の経管栄養や床ずれの防止や処置などにも気を配ります。

終末期を自宅で過ごす場合、クライアントの旅立ちが近づくにつれて身体の自由がきかなくなってくると、在宅介護を行う家族の肉体的な負担が大きくなる傾向にあります。

家族の負担を軽減するという観点からも、訪問介護の担う役割は非常に大きいといえます。

精神面のケア

クライアント自身が感じている死への恐怖や不安が取り除かれるよう、相談に乗ったり、家族と団らんの時をもてるように配慮するのも、重要なターミナルケアです。

特にクライアントの話や想いに耳を傾け、安心して旅立つことができるようにベッド周りの環境を整えることや、必要に応じてかかりつけ医に投薬の相談をすることが、訪問介護の役割になってきます。

またクライアントだけでなく、精神的に不安を抱え、ストレスを感じているクライアントの家族にも寄り添い、終末期に対する後悔が残らないように寄り添うことも大切です。

社会面のケア

ターミナルケアが長期化した場合、肉体的・精神的な疲労に加えて負担となるのが、費用面や手続き面での負荷です。

クライアント本人や家族からの相談があった場合はケアマネージャーに共有し、適切な社会制度を利用できるような環境を整えるサポートを行いましょう。

ターミナルケアに関する研修の重要性

ターミナルケアにおいて訪問介護が提供する介護サービスは身体介護がその根幹にあり、基本的には通常の訪問介護と同じようにクライアントに接します。

しかしながら精神面でのケアや、旅立ちが近づくと生じる容態の変化など、終末期に対する正しい知識をもって、他のアテンダントや医療機関、地方自治体との連携を図る必要もあります。

そのためこれまでにターミナルケアを経験したアテンダントが他のアテンダントに対して体験談を共有したり、ターミナルケアを担当する前の知識習得のためにターミナルケアに関する研修を受けたりすることは非常に重要です。

実際に定期巡回サービス土屋においても、定期的にターミナルケアに関する研修や情報共有の場を設け、先輩アテンダントがターミナルケアを通して感じたことや家族との関わり方、質の高いターミナルケアなどについての経験を共有しています。

訪問介護でキャリア形成を図りたいと考えている方や、介護業界でステップアップしたいと考えている方は、ぜひ周囲でターミナルケアの研修や勉強会があれば積極的に参加したり、先輩アテンダントから情報を共有してもらったりして、ターミナルケアに関する知識を深めていきましょう。

正解のないターミナルケア。訪問介護を提供する前に、研修などに積極的に参加しよう

ターミナルケアにおける訪問介護の役割と、研修を含めてしっかりとターミナルケアについて学ぶことの重要性についてご紹介してまいりました。

ターミナルケアは画一的なサービスではなく、一人ひとりのクライアントによって介護サービスに求めるものが違います。

正しい知識を持ったうえで、それぞれのクライアントと家族の心によりそう訪問介護の提供を心がけましょう。

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