訪問介護サービスの食事メニューを考えるポイント・注意点ついて解説

訪問介護サービスの食事メニューを考えることは簡単ではありません。

本記事では、訪問介護サービスの食事メニューを考えるポイントや注意点を解説します。

ぜひ参考にしてください。

目次

訪問介護サービスの食事メニューを考えるポイント

訪問介護サービスの食事メニューを考えるポイントは、以下の2つです。

  1. 必要な情報を収集する
  2. 介護食の形状を使い分ける

では、具体的に解説します。

必要な情報を収集する

食事を作るには、クライアント(介護サービスを利用する方)に関する情報を収集する必要があります。

把握するべき内容は下記のとおりです。

  • 病歴
  • 服薬状況
  • 咀しゃく力
  • 嚥下力
  • アレルギー

病気によっては、食べてはいけない食材や控えめにしなければならない食材があります。

たとえば、糖尿病の場合は糖質を控えなければなりません、具体的には、糖質の高い芋類や根菜類は使用しない、白米を少なめにするといった食事を考える必要があります。

加えて、服薬中の薬によっては、要注意の食材があります。

たとえば、血栓予防作用がある「ワーファリン」は、ビタミンKの摂取量に注意しなければなりません。薬の効果を弱めてしまうためです。

よって、ビタミンKが豊富なクロレラや青汁、納豆は食べないようにするのがベストです。

また、咀しゃく力や嚥下力がどのくらいあるかも把握するべきです。

噛む力が弱いと、蓮根などの固いものを噛みきれませんし、嚥下力が弱いと飲み込むのも大変です。

アレルギー食材の有無を確認することも忘れてはいけません。

食品アレルギーがあると、アレルギー反応で呼吸困難を起こす恐れがあります。

介護食の形状を使い分ける

介護食は形状にも気を配らなければなりません。さまざまな種類があるため、うまく使い分けましょう。

<きざみ食>

普通の食事メニューの食材を細かく刻んだものです。

噛む力が弱いクライアントの場合に向いています。

きざむ細かさはクライアントの状況に合わせましょう。

<軟菜食>

舌や歯茎で潰せるくらいにクタクタに煮たもので、赤ちゃんが食べる10倍がゆのイメージです。

咀しゃく力や嚥下力が弱いクライアントに向いています。

一般的な食事よりも柔らかいだけであり、見た目や香り、味は変わりません。

<ソフト食>

ムース食とも呼ばれ、食材をすりつぶして型に入れて成形した食事です。

唾液力が少なく飲み込むのが大変なクライアントや、咀しゃく力が弱くなったクライアントに向いています。

<ゼリー食>

すりつぶした食材をゼラチンや寒天、デンプンでとろみをつけたりゼリー状にした食事です。

幼児が食べる離乳食のイメージです。

嚥下力が弱いクライアントに向いています。

<ミキサー食>

流動食の一種で、食事をミキサーにかけてポタージュ状にしたものです。

咀しゃく力や嚥下力が著しく弱ったクライアントに向いています。

食感や見た目が通常の食事とはかけ離れているため、抵抗感を表すクライアントもいます。

訪問介護サービスで食事を作る時の注意点

訪問介護サービスで食事を作る時の注意点は以下の4つです。

  1. 高齢者が食べやすい食材と食べにくい食材を知る
  2. 27品目のアレルギーとクライアントの情報を覚える
  3. 食材の大きさと固さを意識する
  4. 栄養のバランスを考慮する

訪問介護で食事に関連するトラブルを起こさないようにするためにも、しっかりと注意点を確認しておきましょう。

高齢者が食べにくい食材を知る

高齢者が食べにくい食材を知りましょう

食べにくい食材は以下のとおりです。

  • 繊維が多いもの
  • 弾力が強いもの
  • パサつきがあるもの
  • さらさらしているもの
  • ペラペラしているもの
  • 酸っぱいもの
  • 硬いもの

たとえば以下のような食材が該当します。

  • たこ
  • イカ
  • こんにゃく
  • ひき肉
  • おから
  • 魚のほぐし身
  • ゆで卵
  • わかめ
  • のり
  • お味噌汁 など

上記は、基本的に介護食には向いていません。

もし使用するのであれば、非常に細かく刻んだり、ポタージュにしたりしましょう。

ちなみに、ジャガイモやほうれん草は「ビシソワーズ」と呼ばれるスープ料理があります。

根菜類やほうれん草をミキサーにかけるとミキサー食のイメージを持たれるかもしれませんが、ビシソワーズにすると抵抗感が少なくなるでしょう。

27品目のアレルギーとクライアントの情報を覚える

アレルギーは命にかかわるため、必ず27品目のアレルギーとクライアントの情報を覚えておいてください。

厚生労働省では、現在27品目を食物アレルギーを引き起こしやすい食品に指定しています。とくに下記は発症数、重篤度が高いことから特定原材料となっているため、必ず覚えておくようにしましょう。

  • そば
  • 落花生
  • 乳製品
  • 小麦
  • えび
  • かに

もし、以下の症状が見られた場合、食物アレルギーの症状が疑われます。

  • 湿疹・じんましん
  • 皮膚や喉のかゆみ
  • 口周りの違和感や腫れ
  • 腹痛や下痢
  • 呼吸困難
  • 目の腫れ

遅延型のアレルギーが多く、食事を1〜2時間以内であらわれる傾向にあります。

ただし、即効型の場合もあり、その場合は15分以内に発症します。

食材の大きさと固さを意識する

クライアントの嚥下力や咀しゃく力によっては、普通の食事は困難です。

そのため、食材の大きさと固さは意識する必要があります。

にんじんやキャベツの芯などは硬いためしっかりと煮たり、レンチンしたりして固さを取り除かなければなりません。

加えて、とろみをつける、ゼリー状の形状にするなどの工夫も必要です。

たとえば、おかゆのような水分の多い食事や飲み込みにくい食事はとろみをつけると食べやすくなります。

ただし、工夫を施すと調理時間がかかりやすいため「品数を減らす」「調理の段取りを効率よくこなす」などの調整も同時に行いましょう。

たとえば、圧力鍋や蒸し器があると、短時間で食材を柔らかくできます。

栄養のバランスを考慮する

高齢者は若い頃に比べて食欲や食事量が低下しているため、栄養不足の傾向にあります。

低栄養は虚弱や亡くなるリスクを高めるため、避けなければなりません。

食事を作るときは5つの栄養素(主食・主菜・副菜・乳製品・果物)を考慮して作りましょう。

訪問介護サービスの食事メニューを考えるポイントや注意点を抑えよう

訪問介護サービスの食事メニューは、さまざまな工夫が必要です。

クライアントによってからだの状態が異なったり好みが異なったりするため、一人ひとりに合わせた食事を考えるスキルを要します。

しかし、ポイントと注意点に沿って行えばそれほど難しいことではなくなり、徐々に慣れていきます。ぜひ今回お伝えしたポイントや注意点を参考に、食事メニューを考えてみてください。

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