定期巡回随時対応型訪問介護とは?メリット・デメリットや他の訪問サービスとの違い

超高齢社会の日本では、在宅での介護が求められるようになりました。介護サービスの中でも、在宅支援の訪問介護サービスが注目されています。

訪問介護サービスは、高齢者や障害者が自宅で安心して生活できるように、生活上の支援や介護を提供するサービスです。

今回は、訪問介護サービスの1つである「定期巡回随時対応型訪問介護」についてメリット・デメリットや、その他の訪問サービスとの違いを詳しく解説します。

目次

定期巡回随時対応型訪問介護(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)とは

定期巡回随時対応型訪問介護の正式名称は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。

重度の要介護状態になったクライアントでも、可能な限り、自宅で自立した日常生活を送ることができるように支援します。定期的な巡回に加えて、随時通報への対応や緊急時の対応なども可能で、24時間365日体制で介護と看護のサービスを総合的に行います。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護には、大きく分けて3つのサービスが含まれます。それぞれ詳しくみていきましょう。

定期巡回

あらかじめ決められたスケジュールで、アテンダントがクライアントの自宅を訪問し、身体介護や生活援助を提供するサービスです。

定期巡回は、クライアントの状態に合わせて訪問の頻度や時間を調整することができます。定期的に訪問することで、クライアントとのコミュニケーションを通じて状態や要望を把握しやすく、より適切なサービスの提供に繋がるでしょう。

また、クライアントの日常生活に合わせたスケジュールで訪問することができるため、必要な介護サービスを提供することは勿論、生活リズムを整える役割もあります。

定期巡回は1日に複数回訪問してくれるため、サポートが必要な場面の多いクライアントにとって便利なサービスです。

随時対応・訪問

随時対応・訪問は、定期的な訪問とは別に、クライアントからの要望や緊急事態が発生した場合に、迅速かつ適切な介護・看護を提供するサービスです。

クライアントが必要とするときに、24時間365日いつでも・すぐに対応できるという点が特徴です。在宅で生活するクライアントにとって、突発的な緊急事態が発生した際にも迅速かつ適切に対応してくれることは、強い安心感に繋がるでしょう。

例えば、1人では起き上がれない独居のクライアントが自宅で転倒した場合に、オペレーターが通報を受けた場合を想定してみましょう。
オペレーターは、クライアントからの話を聞いて、大きな怪我がないと判断し、介護職員のアテンダントに訪問要請をします。要請を受けたアテンダントは、クライアントの自宅を訪問し、クライアントが起きるのを介助し、全身状態を観察します。クライアントの状態によっては、看護師や医師など他のアテンダントの訪問を要請する場合もあるでしょう。

緊急時にご家族がすぐにかけつけられない方や急変の可能性がある方におすすめのサービスです。

また、ご家族の急用などで生活上の支援が必要になった場合にも、随時アテンダントが訪問し、食事の準備や入浴の介助などの生活支援を行います。

随時対応・訪問は、もしもの時に安心のサービスなので、クライアントの在宅生活を支える強い味方になるでしょう。

訪問看護

訪問看護は、看護職員やリハビリスタッフが訪問するサービスです。

アテンダントは、クライアントの状態を専門的に評価・治療し、療養上のアドバイスをします。医療的側面など専門的な知識をもっているアテンダントが訪問することで、クライアントの状態や身体的・精神的なクライアントの負担やご家族の介護負担の軽減に繋がるでしょう。

また、訪問看護のアテンダントは病院と同様に医師の指示を受けてサービスを提供しています。病院と同様に点滴などの医療的な処置も受けられるので、状態が悪化した時にも対応可能です。

最期まで自宅で生活したいというクライアントにとっても頼もしいサービスです。

(参考)
厚生労働省「地域包括ケアシステム」
厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

定期巡回随時対応型訪問介護のメリット

定期巡回随時対応型訪問介護は、定期的に訪問することでクライアントの生活支援を行い、突発的な緊急事態が発生した際にも迅速かつ適切に対応します。

定期的な巡回訪問や訪問看護により、クライアントが安定した生活を送ることができ、随時対応・訪問により安心して生活を送れるでしょう。

定期的なサポートが受けられる

定期的な訪問により、クライアントが安定した生活を送ることができます。

また、クライアントの生活状況や体調の変化を早期に察知することができ、治療が必要となった場合にも迅速に対応してくれます。。

専門的なサポートを受けられる

アテンダントは、看護職員やリハビリスタッフ、介護職員などの専門的な知識をもったアテンダントです。療養上の困りごとも専門的な知識から、治療や介護方法の工夫により解決へ導いてくれるでしょう。

また、各アテンダントや医療機関などは密に連携し、情報を共有しています。クライアントの訪問時の様子やご家族の介護状況から、適切なサポートを行います。

緊急時にも迅速なサポートを受けられる

突発的な緊急事態が発生した場合でも、随時対応・訪問で迅速なサポートを受けられます。アテンダントがすぐにクライアントの自宅に駆けつけ、適切なサポートを行います。

独居のクライアントやご家族の長期不在の際でも安心です。

住み慣れた場所で生活を続けられる

定期巡回随時対応型訪問介護は、クライアントが重度要介護状態になっても、住み慣れた場所で安心して生活を続けられるようサポートするためのサービスです。

施設よりも自宅で生活を続けたいというクライアントにおすすめです。

(参考)厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

定期巡回随時対応型訪問介護のデメリット

定期巡回随時対応型訪問介護には、利用の際に費用がかかったり、訪問スケジュールの調整が必要になったりと、デメリットもあります。

クライアントにとっては、他のサービスよりも負担が大きいと感じることがあるため、デメリットも把握しておきましょう。

費用がかかる

定期的な訪問と随時対応が必要なため、他の訪問サービスよりも費用が高くなる場合があります。

ただし、自治体や保険などの制度によって一部負担は軽減されます。

利用の際は、担当のケアマネージャーに事前に確認することが重要です。

訪問スケジュールの調整が必要

定期的な訪問があるため、クライアントの都合やアテンダントのスケジュールの調整が必要です。

アテンダントのスケジュール調整がつかない場合には、希望の回数や時間よりも少ない提供時間になることもあるので、空き状況を確認する必要があります。

利用開始前のスケジュール調整は、主に担当のケアマネージャーを通して行われます。

また、利用開始後も急用などで予定が合わない場合は、別の日程に変更する必要があるため、クライアントやご家族、アテンダントとのコミュニケーションが重要です。

利用条件がある

定期巡回随時対応型訪問介護の対象者は、要介護1~5と認定された方、かつ事業所と同じ地域に住民票がある方です。

介護認定を受けていても、要支援1〜2の方は利用できません。また、同じ地域に住んでいても住民票が他の地域にある場合は利用できませんので注意が必要です。

(参考)厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

定期巡回随時対応型訪問介護と「その他の訪問サービス」との違い

定期巡回随時対応型訪問介護の利用を検討する場合、他の訪問サービスとの違いを知っておく必要があります。違いを知って、自分に適したサービスを利用しましょう。

それぞれの訪問サービスで利用料金も異なるため、詳細は担当のケアマネジャーに確認しましょう。

訪問介護

訪問介護は、定期巡回随時対応型訪問介護と同様にクライアントの身体介護や日常生活の援助を行うサービスです。具体的には、入浴や排泄、食事の介助、掃除や洗濯などの家事援助を行います。

定期巡回随時対応型訪問介護とサービス内容はほぼ同様ですが、利用条件やサービス提供時間が異なります。

定期巡回随時対応型訪問介護は、事業所と同じ地域にクライアントの住民票があることが1つの利用条件になりますが、訪問介護では、クライアントが訪問範囲内に住んでいれば、住民票がどこにあっても利用できます。

また、サービス提供時間の違いとしては、定期巡回随時対応型訪問介護は1回の訪問滞在時間・1日の訪問回数は決められておらず、24時間対応が可能です。

一方、訪問介護のサービス提供時間は最低でも30分以上は必要です。また「2時間ルール」という制度があり、サービス利用の間隔を原則2時間以上空ける必要があります。

訪問入浴

訪問入浴は、クライアントが自宅で入浴する際に、アテンダントが訪問し、入浴の援助をするサービスです。

クライアントの身体機能が低下している場合や、バリアフリーの浴室がない場合に利用されます。訪問の頻度は、クライアントの状態によって異なりますが、一般的には週に1回から数回の頻度で行われます。

定期巡回随時対応型訪問介護との違いは、サービス内容が入浴の援助に限られる点です。また、訪問入浴は決まったスケジュールで訪問するため、随時対応・訪問は行われません。

訪問リハビリ

訪問リハビリと定期巡回随時対応型訪問介護の違いは、主にサービス内容とその対象者です。

訪問リハビリは、リハビリテーションの専門家である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが訪問します。

訪問の目的は、クライアントの身体機能や認知機能の向上です。具体的には、歩行やバランス、筋力や柔軟性の向上などの身体機能の改善、認知機能や言語機能の改善が挙げられます。

訪問リハビリは、通常、1回あたり40〜60分、週に数回の訪問が一般的です。

定期巡回随時対応型訪問介護との違いは、リハビリテーションが中心である点や訪問の頻度が定期的である点にあります。

(参照)厚生労働省「訪問介護及び訪問入浴介護(参考資料)」

定期巡回随時対応型訪問介護は「24時間安心安全に」過ごせるサービス

定期巡回随時対応型訪問介護は、定期的な訪問と随時対応により、クライアントが安定した生活を送り、緊急時にも迅速かつ適切なサポートを受けられるサービスです。住み慣れた場所で生活を続けたい方にとって、定期巡回随時対応型訪問介護は強い味方になります。

超高齢社会の日本では、在宅での介護がますます重要視されるようになっているため、今後も定期巡回随時対応型訪問介護の需要は増えていくことが予想されます。

ただし、費用がかかる場合や訪問スケジュールの調整が必要な場合があるため、利用前に事前に確認しましょう。また、他の訪問サービスと比較し、自分にあったサービスを選ぶことも重要です。利用を検討している方は、担当のケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。

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