定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護保険サービスのなかでも珍しく、利用料金が月額固定制となっています。
サービスの利用頻度や利用したサービスの内容に関わらず料金が設定されているため、定期巡回サービス土屋には「定期巡回の料金って、割高なの?」「定期巡回を利用した方が、利用料金が高いケースはあるの?」との質問の声が寄せられることもしばしばです。
そこで今回は、定期巡回の料金は高いといえるのかについてご紹介していきます。
定期巡回の利用を検討している方や、現在の利用状況で料金として妥当なのかを知りたいとお考えの方は、要チェックです。
定期巡回の料金
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の料金は、他の介護保険サービスのように、サービスを利用した回数や時間によって変動することがありません。
月額の料金を算出する際に用いる計算式は、以下の通りです。
((基本単位±各種加減算)×地域区分)×自己負担割合=定期巡回の利用料金(自己負担分)
このうち料金を左右する上で大きく影響があるのが、基本単位と各種加減算です。
定期巡回の基本単位
定期巡回の基本単位は、自治体によって認定されたクライアントの介護度と、訪問看護に関する項目の掛け合わせによって、以下の通りに定められています。
看護師による訪問看護あり | 准看護師による訪問看護あり | 訪問看護なし | |
---|---|---|---|
要介護1 | 8,312単位 | 8,146単位 | 5,697単位 |
要介護2 | 12,985単位 | 12,725単位 | 10,168単位 |
要介護3 | 19,821単位 | 19,425単位 | 16,883単位 |
要介護4 | 24,434単位 | 23,945単位 | 21,357単位 |
要介護5 | 29,601単位 | 29,009単位 | 25,829単位 |
実際に地域区分や自己負担割合がどの程度必要になってくるかは一人ひとりのクライアントによって異なりますが、各種加減算を除いて一般的に考えると、おおよその目安で6,000円から33,000円の自己負担が、定期巡回を1カ月利用する料金になります。
基本単位は介護度の再認定によって要介護度が変更になったり、訪問看護の利用状況を変更しない限りは、毎月同じ単位数の請求となります。
各種加減算
加算や減算は、定期巡回事業所のサービス提供体制やクライアントの状況に応じて基本単位にプラス、または基本単位からマイナスされる単位になります。
例えば定期巡回事業所に勤務するアテンダントの資格保有率が基準を超えている場合は加算、クライアントがショートステイや入院によって定期巡回サービスを利用しなかった日数は減算、といったケースが挙げられます。
各種加減算については基本単位とは異なり、毎月の定期巡回事業所の体制やクライアントの利用状況に応じて変動があります。
特に毎月の介護報酬明細書はよく確認するように心がけましょう。
定期巡回と訪問介護の料金の違い
定期巡回・随時対応型訪問介護看護に含まれる定期巡回サービスに類似した介護保険サービスといえば、訪問介護です。
厳密には同一サービスの利用に関する間隔規定や、定期巡回では提供することができないサービスなど違いはありますが、訪問介護の料金から、定期巡回の月額は高いのか比較してみましょう。
訪問介護の利用料金
訪問介護の利用にあたっては、利用したサービスの区分と、1回あたりの所要時間に応じて基本の報酬単位が以下のように定められています。
区分 | 1 回当たりの所要時間 | 基本報酬 | 自己負担(1割) |
---|---|---|---|
身体介護 | 20 分以上30 分未満 | 250単位 | 約260円 |
30 分以上1 時間未満 | 396単位 | 約411円 | |
1 時間以上1 時間30 分未満 | 579単位 | 約600円 | |
30 分増すごとの加算 | 84単位 | 約87円 | |
生活援助 | 20 分以上45 分未満 | 183単位 | 約1,890円 |
45分以上 | 225単位 | 約235円 |
注意すべき点は、訪問介護を早朝や深夜に利用した際は、上記の基本報酬に対して加算がつく点です。
具体的には早朝(6:00から8:00の時間帯)の利用と夜間(18:00から22:00の時間帯)の利用に対しては基本報酬の25%、深夜(22:00から翌朝6:00n時間帯)の利用に対しては、基本報酬の50%が加算されます。
家族の都合や必要な介護の内容によって日中以外もサービスを利用する可能性のある方は、自己負担の合計が大きくなってしまう可能性がありますので注意が必要です。
定期巡回の利用料金が、訪問介護の利用料金よりも高くなるケース
自宅での生活を続けるなかでの困りごとを解消したいと考えた場合、訪問介護の利用と定期巡回の利用ではどちらが料金が高くなってしまうのでしょうか。
介護度やサービスの利用時間によっても具体的な金額は異なってまいりますが、一般的なケースを参考に比較してみましょう。
ケース①平日の日中しかサービスを利用しない
「夜間は家族が介護を行うことができる」「必要としている介護が食事や服薬管理のみで、夜間に介護サービスを利用することはない」というクライアントの場合は、定期巡回を利用した場合、多少料金が高いと感じてしまうかもしれません。
定期巡回は、料金を気にすることなく平日や夜間でも必要な介護サービスを利用できるよう、固定制の料金となっています。
そのため深夜・早朝の時間帯や、年末年始などにサービスを利用しない場合は、定期巡回の料金を高いと感じてしまうかもしれません。
ケース②緊急時の対応や訪問が不要な場合
定期巡回・随時対応型訪問介護看護には定期巡回の他にも随時対応と随時訪問というサービスが含まれており、クライアントはケアコールという機器を介していつでも定期巡回事業所に連絡を取ることができます。
不意の転倒や容態の急変などの際、アテンダントに連絡を取る必要や、連絡の内容次第での緊急訪問の必要がないという方は、定期巡回の利用を割高に感じてしまうかもしれません。
ケース③毎日の介助が必要ない
定期巡回は、複数回のサービス利用を毎日行うことを前提とした介護サービスとなっています。
1回あたりの訪問時間は訪問介護よりも短くなる傾向にありますが、必要な介助を1日に複数回利用することができますので、介護が必要と認定されたクライアントであっても自宅生活を継続しやすくなっています。
一方で週に3日程度しか介助の必要性がないというクライアントにとっては、定期巡回の料金を高いと感じる可能性があります。
定期巡回のポイントは「毎日・日中以外も・緊急時も」。高いと感じたらケアマネージャーに相談を
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の料金システムと、定期巡回を高いと感じてしまう可能性があるケースについてご紹介いたしました。
定期巡回は、24時間365日にわたって自宅生活を続けるクライアントに介護サービスと緊急時の対応・訪問サービスを提供しています。
平日の日中しかサービスを利用しないクライアント・週に2~3回程度しかサービスを利用しないクライアント・緊急時の助けが不要なクライアントにとっては料金が高くなってしまうかもしれませんので、ケアマネージャーや定期巡回事業所に相談してみましょう。