定期巡回・随時対応型訪問介護看護の総報酬を決める重大要素!加算の種類とは?

1か月あたりの基本単位数が固定されており、決まった月額で利用することのできる介護保険サービスが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。

ケアプランや医師の指示で必要と認定された定期巡回サービスと訪問看護サービス、そしてもしもの時に備えた随時対応サービスと随時訪問サービスが、利用頻度や利用時間を気にすることなく利用できるとあって、要介護と認定されたクライアントの家計負担を極力軽減することのできるサービスとなっています。

しかしながら定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用にあたっては、固定された基本単位数の他に様々な加算が加わり、最終的な介護報酬が算出されます。

今回の記事では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護でよくみられる加算についてご紹介していきます。

目次

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の総報酬とは

定期巡回事業所を利用した場合、まずは要介護度や利用する事業所の形態、訪問看護利用の有無によって定められた基本単位数に、様々な加減算を計算して「総単位数」を算出します。

この総単位数に、サービスが提供された地域の地域区分を乗算することによって、介護報酬の「総報酬」が決定します。

ちなみに総報酬のうち、クライアントの自己負担となるのは原則1割程度です。

定期巡回事業所を利用した際の基本単位数

定期巡回事業所を利用して介護保険サービスを受けた場合、基本単位数は要介護度や利用する事業所の形態、また訪問看護サービスの利用有無によって細かく定められています。

単位数には幅がありますが、5,697単位〜29,601単位の間に設定されており、おおよその自己負担金は6,000円〜30,000円前後がその目安となります。 

この単位数に対して、利用する事業所の特徴やクライアントの通所施設利用状況などにより加減算を計算し、介護報酬を算出していきます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護で頻出の加算

基本の単位数に対する加算・減算のなかでも、特に使用頻度が高い加算についてご紹介していきます。

定期巡回事業所を利用するクライアントや家族はもちろんのこと、アテンダントの立場であっても加算について把握しておくことで、質の高い定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供につながりますので、今一度確認しておきましょう。

緊急時訪問看護加算

緊急時訪問看護加算は、ケアプラン上で想定されている計画的な訪問ではなく、緊急的にクライアント宅を訪問する体制を整えている事業所に認められている加算です。

実際の緊急時訪問看護利用がなくとも、事業所が訪問の体制を整えている場合には加算が可能となっています。

具体的に、一体型の事業所を利用しているクライアントの場合は、1ヵ月あたり315単位を定期巡回事業所が計上することができます。

この場合のサービスコードは763100です。

一方で連携型の事業所を利用しているクライアントに対しては、連携先訪問看護事業所が以下のような単位数を加算することが可能となっています。

  • 緊急時訪問看護加算Ⅰ……1ヵ月あたり574単位(サービスコード133100)
  • 緊急時訪問看護加算Ⅱ……1ヵ月あたり315単位(サービスコード133200)

認知症専門ケア加算

職員に対する認知症ケアの留意事項徹底や研修体制の整備、また認知症介護実践リーダー研修修了者・認知症介護指導者養成研修修了者を的確に配置している事業所に対して認められている加算が、認知症専門ケア加算です。

近年増加傾向にある認知症を理由として要介護状態にあるクライアントに対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が高いレベルでサービスを提供することができるよう、創設された加算になります。

加算Ⅰの場合は1ヵ月あたり90単位(サービスコード766133)、加算Ⅱの場合は1ヵ月あたり120単位(サービスコード766134)を加算することができます。

生活機能向上連携加算

生活機能向上連携加算は、定期巡回事業所が外部のリハビリテーション専門職や医師と連携して助言を受けた計画書を作成した場合に、その評価として認められる加算です。

医師や理学療法士の専門的なアドバイスに基づくケアを受けることで、自宅で暮らすクライアントの身体機能維持につなげていくことを目的としています。

内容の充実度から加算Ⅰと加算Ⅱの2段階が設定されており、加算Ⅰの場合は1ヵ月あたり100単位(サービスコード764012)、加算Ⅱの場合は1ヵ月あたり200単位(サービスコード764013)を計上することが可能です。

処遇改善加算・特定処遇改善加算

実際に介護を提供するアテンダントの安定的な処遇改善につながる環境整備と給料UPを目的に設定されている加算が、処遇改善加算です。

また処遇改善加算をさらに発展した内容にすることによって、経験や技能のある介護職員に特化した処遇改善を行うのが、特定処遇改善加算となっています。

厚生労働省の調査によると、アテンダント(定期巡回に限らない)の平均給与は、2021年10月時点で31万6,610円となっており、同年6月時点の全産業の平均給与額39万1408円よりも7.5万円程度低水準となっていることがわかります。

定期巡回の事業所でも、アテンダントの処遇改善を目的とした対策を実施している事業所に対しては処遇改善加算・特定処遇改善加算が認められています。

具体的な加算の単位は以下の通りです。

  • 処遇改善加算Ⅰ……基本単位数の137/1000単位を加算(サービスコード766114)
  • 処遇改善加算Ⅱ……基本単位数の100/1000単位を加算(サービスコード766112)
  • 処遇改善加算Ⅲ……基本単位数の55/1000単位を加算(サービスコード766104)
  • 定期巡回処遇改善加算Ⅳ……Ⅲで算定した単位数の90%を加算(サービスコード766106)
  • 定期巡回処遇改善加算Ⅴ……Ⅲで算定した単位数の80%を加算(サービスコード766108)
  • 特定処遇改善加算Ⅰ……基本単位数の63/1000単位を加算(サービスコード766118)
  • 特定処遇改善加算Ⅱ……基本単位数の42/1000単位を加算(サービスコード766119)

【参照】
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省)
2021年6月度「定期賃金調査結果」の概要(日本経済団体連合会)

定期巡回には、さまざまな加算項目が。クライアントからの質問に備えて、しっかりと確認しておこう。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は月額固定制で利用できるサービスであることから、「基本単位以外にも加算がついているけれど、どういうことだろう?」「基本単位分の自己負担しか発生しないと思っていた」と考えるクライアントやご家族から、利用明細に関する問い合わせを受けることが多々あります。

細かい単位数まで詳細に記憶しておく必要はありませんが、勤務している定期巡回事業所が該当している加算などについては内容を把握しておくと便利です。

改めて定期巡回の加算について概要を確認し、より質の高い介護サービスの提供を目指していきましょう。

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