在宅での看取りで生じる問題点。訪問介護との連携で乗りこえる方法とは

在宅での看取りには最期の時まで自宅で自分らしく生活を送りながら、家族水入らずで過ごすことができるというメリットがあり、多くの方が最期の時の過ごし方として希望されています。

実際に厚生労働省が発表している調査結果によると、在宅での看取りを希望している方は一般国民のうち69.2%の方と、半数以上を占めています。

入院や介護施設で迎える看取りよりも費用的な負担が少なく、その人らしい穏やかな最期を迎えられるイメージのある在宅での看取りですが、全く問題点がないわけではありません。

今回の記事では在宅での看取りで生じる問題点と、訪問介護ができるサポートについてご紹介していきます。

在宅での看取りを訪問介護と連携して実現させたいと考えているクライアントの家族の方や、訪問介護に従事している自分には何ができるのだろうと悩んでいるアテンダントの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【参照】人生の最終段階における医療に関する意識調査(厚生労働省)

目次

在宅での看取りで生じやすい問題点①住宅環境

看取り期やその前段階である終末期のクライアントは、自分自身の力で動くことが難しくなり、生活動作のほとんどでサポートが必要になってきます。

しかしながら自宅で介護を行う場合、大半の家庭は介護を想定した間取り設計になっておらず、家族だけの力で身体介護を行うことが難しい状況がほとんどです。

在宅介護において問題となる家庭設備の代表的な例としては、トイレの位置や狭さ、お風呂場までの動線確保の難しさとなりますが、特に在宅での看取り期には「緊急時に搬送経路が確保しやすい1階に居室がない」「寝たきりのクライアントの体位変換を行う上で、十分なスペースの確保が難しい」といった問題点を感じる家族も多いです。

限られた住宅スペースの活用方法は、訪問介護に相談を

住宅の間取りなどを大きく変更することができない場合でも、訪問介護事業所やアテンダントに相談をするなかで、最適な動線確保や家具配置の道筋をつけられることもあります。

特に訪問介護事業所やアテンダントの多くはこれまでの在宅での看取りを通して知見を深めていますので、在宅での看取りが比較的やりやすい環境を整えるためのアドバイスをもらうことができます。

クライアントの容態変化や家族の悩みに合わせて、適宜相談を行うとよいでしょう。

在宅での看取りで生じやすい問題点②増加する介護時間への対応

終末期や看取り期のクライアントは意識がもうろうとしはじめ、眠っている状態や起きていても意思疎通ができない時間が徐々に長くなっていきます。

身体がむくみ、水分や食料を口にすることのできない段階にまで症状が進行してくると、24時間目が離せなくなり、介護にかかる時間が急激に長くなります。

家族だけでは介護を分担することが難しくなり、仕事や私用などにも支障をきたし始めることから、在宅での看取りに限界を感じる方も少なくありません。

訪問介護から定期巡回・随時対応型訪問介護看護への切り替えも視野に入れよう

在宅での看取りでクライアントから目を話すことのできない時間が長くなってくると、訪問介護のサポートにも限界が生じる可能性があります。

訪問介護ではクライアントの自宅を訪問して身体介護や生活援助を一定の時間行うことができますが、例えば1日に何度も体位変換をお願いしたい場合は、2時間以上の間隔をあけなくてはいけないという、いわゆる2時間ルールが存在します。

そのため「家族が仕事に行っている間の介護を全て訪問介護にお願いしたい」「夜間の体位変換やおむつ交換は、訪問介護に依頼したい」という利用法は極めて難しくなってきます。

そこで在宅での看取りにぜひ活用していただきたい介護保険サービスが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護度ごとに定められた月額の利用料金で、1日に何度でも定期巡回・随時対応・随時訪問・訪問看護の4サービスを利用することができる介護保険サービスです。

特に定期巡回では1回15分程度の短い訪問を1日に何度も利用することができるので、定期的な容態確認や排泄管理、体位変換を依頼することが可能です。

また在宅での看取りで必ずいつかやってくる緊急時に関しても24時間対応の専用連絡システムが確保されているため、安心して指示を仰ぐことができる仕組みとなっています。

在宅での看取りに問題点が生じた場合は、訪問介護の利用回数や内容を相談したり、定期巡回・随時対応型訪問介護看護への切り替えを検討することで、悔いなく旅立ちを見守ることができる環境を整えていきましょう。

在宅での看取りで生じやすい問題点③クライアントの精神的な不安

元気な時は在宅での看取りを希望していたクライアントであっても、進行する自身の衰弱や大きくなる死への恐怖から、精神的に不安定になってしまうことも珍しくありません。

特に在宅での看取りは医療スタッフが常にそばにいるわけではありませんので、「生きたい」という気持ちが強くなってくると「本当にこのまま在宅で看取られていいのか」「自分はこれからどうなってしまうのか」と感情が揺れ動いてしまうかもしれません。

アテンダントと連携して、穏やかな環境作りを

クライアントの衰弱によって感情が揺れ動いてしまうのは、家族も同じです。

そのため在宅での看取りを行う際は「一度決めたのだから、なにがなんでも在宅での看取りを貫く」と固執してしまうのではなく、ケアマネージャーや訪問介護のアテンダント、主治医などと相談しながら、ベストな看取りの形を模索していきましょう。

在宅での看取りに限界を感じている場合でも、例えばクライアントのベッドの周りに思い出の写真を飾って語りあったり、思い出深い品を眺めながら家族でのひと時を過ごすだけで、クライアントも家族も感情が落ち着くことがあります。

在宅での看取りに問題点がある時はすぐに、訪問介護やケアマネージャーなど一緒に看取りを支えてくれるアテンダントに相談してくださいね。

在宅での看取り。問題点は訪問介護や地域との連携で対応を

多くの方が希望される在宅での看取りで生じやすい問題点と、訪問介護を中心にした解決策についてご紹介いたしました。

在宅での看取りを希望されるクライアントや家族は多いですが、家族だけの力で在宅での看取りを成功させることは非常に困難です。

訪問介護をはじめとする介護保険制度を上手く活用し、笑顔で旅立ちを見送ることができるような体制をつくっていきましょう。

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