高齢や認知症が要因となり要介護と判断されている方の「住み慣れた自宅に住み続けたい」という想いに寄り添う介護保険サービスが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。
深夜や早朝、また休日・祝日を問わずサービスが提供されますので、日常生活の中で介助を必要としている方はもちろんのこと、同居しているご家族にとっても安心感を得ることのできるサービスといえます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は制度の開始から10年ほどの比較的新しい介護保険サービスです。
そのためアテンダントの中でも、まだまだ「定期巡回・随時対応型訪問介護看護について詳しくない」という方が多いのではないでしょうか。
本記事では定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてご紹介しながら、介護報酬の単位数について詳しくご紹介していきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基礎知識
はじめに、改めて定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてご紹介いたします。
このサービスの最大の特徴は、24時間365日切れ目のない介護と看護を提供するサービスであるという点です。
昼夜を問わず必要な訪問看護、緊急時の問い合わせと訪問、定期的な訪問看護が提供されるため、「入居型施設には入所したくない」「最期のときまで自宅で家族と過ごしたい」というクライアントの想いを最大限サポートすることが可能となっています。
また利用の回数に関わらず料金は月額制、また介護報酬制度の定めにより自己負担金は基本的に1割と、クライアントや家族にとっても家計の不安がないという特徴があります。
サービスの要となる定期巡回
定期巡回は、1回15分程度の訪問で指定された介助サービスを提供する仕組みで、同じ介護保険サービスのなかでも訪問介護と似通ったサービスとなっています。
ホームヘルパーと呼ばれる介護職員初任者研修を修了したアテンダントが、クライアントの自宅を一日に数回訪問して必要な介助を提供します。
具体的には食事や排せつなどを介助する身体介助、調理・配膳や家事などの生活援助などを行います。
通常の訪問介護とは異なり深夜や早朝のサービス提供であっても加算がありませんので、昼夜を問わず介護を必要としているクライアントに寄りそったサービスとなっています。
もしもの時に安心できる随時応対
自宅で自立した生活を送っているクライアントの場合、夜間に転倒してしまったり休日に発熱してしまったりすると、大きな不安を感じてしまいますよね。
症状や異変に緊急性があるのかないのかを24時間365日問い合わせることができるサービスが、随時応対です。
随時応対ではクライアントの自宅に置き型、そして首から下げる型の連絡機器(ケアコール)を設置します。
ケアコールは日中・夜間を問わず定期巡回事業所にいるオペレーターにつながりますので、症状や異変を相談することによってクライアントは安心感を得ることができます。
随時応対の内容次第では、次にご紹介する随時訪問のサービスにつながります。
在宅介護の大きな味方である随時訪問
随時応対を受けたオペレーターが「訪問が必要」と判断した場合、昼夜を問わずクライアントの自宅にアテンダントが訪問するサービスが、随時訪問です。
ホームヘルパーはクライアントの安否を確認して、必要な場合は医療機関への連絡を行ったり、身体介護を提供したりします。
随時訪問の利用に関しても追加料などは必要なく、困った時は気兼ねなく利用することができるサービスとなっています。
自宅に医療ケアが届く訪問看護
訪問看護は、看護師や准看護師が自宅を訪問するサービスです。
医師の指示によるインスリン注射の処置や服薬管理など、療養上必要とされる世話や処置を行います。
また定期的に健康状態を確認して、今後のケアプランの内容に反映させていく役割も担っています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の豆知識
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は2012年に始まったばかりの介護保険サービスです。
そのためクライアントやご家族はもちろんのこと、アテンダントのなかでもまだまだ認知度が低いサービスとなっています。
実際にどのような特徴があるのかを、詳しく確認していきましょう。
一体型と連携型がある
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供している事業所は、一体型と連携型の2タイプが存在しています。
4つのサービス全てを同じ事業所が提供しているのが一体型、訪問看護サービスのみ別事業所が提供しているのが連携型です。
一体型の場合は介護と看護の連携がより強固という特徴、また連帯型の場合は地域の医療と介護の情報が多く入ってくるという特徴があります。
訪問看護なしでも利用できる
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期巡回と随時応対・随時訪問の3サービスのみで利用することも可能となっています。
定期的な訪問看護を利用しない場合であっても、24時間体制での定期巡回や頻度の多い定期巡回を必要としている場合は、月額制の定期巡回・随時対応型訪問介護看護の方が自己負担金を少なくできるケースもあります。
そのため訪問看護は常に利用することなく、定期的に行うもの及び随時に行うもののいずれも含まれます。
介護報酬は要介護度や訪問看護の内容で決まる
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬は、訪問介護のようにサービスを利用した回数や時間帯で介護報酬が決まるわけではありません。
介護報酬を算定する基となる単位数を決める要件は、クライアントの要介護度や、訪問看護の利用有無になります。
月額での単位数が固定されているので、クライアントは安心してサービスを利用しやすいというメリットがあります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬
先ほどご紹介した通り、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬を算定する基準となる単位数は、クライアントの要介護度や訪問看護の有無で決まってきます。
ここでのキーワードとなる「単位数」について詳しく確認していきましょう。
介護報酬における単位
介護保険制度では、介護報酬(事業所がクライアントにサービスを提供した対価として、事業所に支払われる報酬)を算定する際、提供したサービスごとに「単位」を定め、計算の基準としています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護にも単位数が定められており、単位数に様々な加減算を計上して総単位数を算出してから、地域区分をかけて総報酬を明らかにする仕組みとなっています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の単位
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬は、(基本単位数+加減算)算×地域区分の計算式で求めることができます。
2021年時点で、定期巡回を利用した際の基本の単位数は以下のようになっています。
一体型 | 一体型 (准看護師による訪問看護) | 連携型/一体型 (訪問看護の利用なし) | |
---|---|---|---|
要介護1 | 8,312単位 | 8,146単位 | 5,697単位 |
要介護2 | 12,985単位 | 12,725単位 | 10,168単位 |
要介護3 | 19,821単位 | 19,425単位 | 16,883単位 |
要介護4 | 24,434単位 | 23,945単位 | 21,357単位 |
要介護5 | 29,601単位 | 29,009単位 | 25,829単位 |
加減算の種類
必要に応じて基本単位に加減算される単位の一例は、以下の通りです。
- 生活機能向上連携加算……外部のリハビリテーション専門職等の助言に基づいて、リハビリに関する定期巡回も提供した場合の加算。(Ⅰ)に該当する場合は100単位/月の加算。(Ⅱ)に該当する場合は200単位/月の加算。
- 認知症専門ケア加算……認知症対応力を向上させる観点で新設された加算。(Ⅰ)に該当する場合は90単位/月、(Ⅱ)に該当する場合は120単位/月の加算。
- 通所減算……デイサービスやデイケアに通所しているクライアントに定期巡回を行った場合の減算。要介護度や訪問看護の利用有無によって62単位から322単位までの減算があります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の単位を決めるポイントは、訪問看護と要介護度!
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基礎知識と、単位を決めるポイントについてご紹介いたしました。
定期巡回では訪問介護の利用回数や利用時間によって単位数が変わることはありません。
また一体型と連携型のどちらの事業所を利用しても単位は同じになります。
訪問看護の利用有無と、クライアントの要介護度によって単位が変動することになりますので、改めて理解しておきましょう。