在宅看取りのしんどい感情。後悔しない看取りのためには、どうすればいいの?

介護生活が続くなかで、否が応でもいずれやってくるのが最期の時。

悲しいですが人は誰しもが死を迎えますので、看取りという問題から目を背けることはできません。

高齢や認知症といった理由から少しずつ介護が必要になり、看取りが近づいてくると、家族の間でも「最期の時はどこで迎えるのか」という相談が行われるかと思います。

今回の記事では、最期の時を在宅で迎えたいと希望したクライアントの意志を尊重し、在宅看取りを決断した方々の悩みやしんどいと感じた気持ちについてご紹介していきます。

後悔しない看取りのために、在宅看取りのステップや難しい点もご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

在宅看取りとは

在宅看取りは、在宅緩和ケアの延長線上に位置している、人生の最後の時を自宅で迎えるための看取りです。

認知症の症状や高齢による機能低下を改善する目的で医療行為を行うのではなく、痛みを緩和することによって自然な形で旅立つことができるよう、家族が中心となって介護や看護の力を借りながらその時を迎える準備を行います。

在宅看取りの希望者

厚生労働省が2018年に公表した調査結果によると、一般国民の69.2%が自宅で最後を迎えることを希望しています。

その理由として上位に選ばれた選択肢は、以下のようになっています。

  • 住み慣れた場所で最期を迎えたいから(71.9%)
  • 最期まで自分らしく好きなように過ごしたいから(62.5%)
  • 家族等との時間を多くしたいから(50.7%)

実際の看取りの場所

多くの方が在宅看取りを希望している一方で、実際に看取りを迎える場所とは大きなギャップが生じているという調査結果も、同じ資料のなかに示されています。

先ほどご紹介した厚生労働省が2018年に公表した調査結果では、身近な人の死を経験された一般国民のなかでも、病院で経験された方は26.7%、自宅で経験をされた方は10.1%となっています。

ちなみに自宅での看取りを経験された方の割合である10.1%は、介護施設で最期を迎えた方々と同じ割合です。

【参照】人生の最終段階における医療に関する意識調査(厚生労働省)

在宅看取りが実現しない理由

在宅看取りを希望しながらも、実際には病院から旅立つ方が多い現実の理由は、どういったものなのでしょうか。

実際に家族が看取り期に入った経験のある方に伺うと、共通して聞かれたのは看取り期やその前段階である終末期のケアが「しんどい」という意見でした。

在宅看取りがしんどい理由①昼夜を問わない見守り体制

看取り期を迎えたクライアント、もしくは終末期を迎えたクライアントは、嚥下機能が低下して食べ物をほとんど受け付けなくなるほか、意識レベルの低下が見られ、自力で行動することがほとんどできなくなります。

そのため排泄や清拭、体位変換といった身体介護を中心に、24時間体制でクライアントを見守る必要がでてきます。

家族で分担して行うとはいえ、しんどいという感情に苛まれる家族は少なくありません。

在宅看取りが体力的にしんどい場合

24時間体制での看取りがしんどいと感じる場合は、訪問介護や訪問看護の利用回数を増やすことができないか、ケアマネージャーに相談することも解決策の一つです。

終末期や看取り期まで症状が進行している場合は要介護度も高くなることが予想され、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用などによって頻回の介護をお願いすることも選択肢の候補となってくるでしょう。

在宅看取りがしんどい理由②クライアントの変化が辛い

終末期から看取り期に差しかかった時期のクライアントは、痛みを感じやすくなったり死に対しての不安な気持ちを抑えることができなくなったりして、感情的になる様子が多々見受けられます。

またそのように感情が爆発する期間を抜けると、意識の混濁からぼーっと過ごすことが増えたり、ほとんど寝て過ごすようになるなど、衰弱した様子へと症状が進行していきます。

このように徐々に死に向かう家族の様子を24時間見守りながら、別れの時に向けて自分自身の気持ちも整理していかなくてはいけないクライアントの家族は、精神的に大きな負担を感じやすい状態にあります。

在宅看取りが精神を蝕む場合

在宅看取りを通して家族が精神的に追いつめられてしまうような場合は、施設もしくは病院への看取りへの切り替えも念頭に置きながら、早急にケアマネージャーに連絡をとりましょう。

利用中の訪問介護事業所や訪問看護事業所に相談することで、少し気持ちがラクになることもあります。またクライアントのベッド周りに思い出の品を並べて、アテンダントを含めみんなで話をすることでクライアントだけでなく家族の気持ちが落ち着いたりすることもあります。

介護に対する負担や死に対する負の気持ちを家族だけで抱え込まず、地域のサポートを受けながら笑顔で見送る準備をしていきましょう。

在宅看取りがしんどい理由③容態の急変に対する恐怖

在宅看取りは医療機関での看取りや介護施設での看取りと異なり、お別れまでの時間を家族と過ごしながら、自分らしく旅立つことができるというメリットがあります。

また経済的な負担も軽くなる傾向にありますが、万が一のことが起こった場合は、家族がすぐに医療機関や関係各所に連絡をとり、指示を仰がなくてはいけません。

医療スタッフが常駐している環境ではないという点で不安を感じ、しんどいと思ってしまう家族も少なくありません。

万が一に備えて、アテンダントとの連携確認を

容態の急変に対する恐怖心を和らげるためにも、終末期や看取り期に入ったと考えられる段階で、一度訪問介護事業所や訪問看護事業所に相談し、緊急時のオペレーションを確認しておきましょう。

在宅看取りを経験してきたアテンダントに万が一の時の処置を相談したり、家族として揺れ動く感情を吐露することによって、しんどいという気持ちから少し解放されるかもしれません。

アテンダントはいつでも家族の味方となってくれる存在ですので、不安な時は遠慮なく頼りましょう。

在宅看取りのしんどい気持ちは、家族だけで抱え込まないで

在宅看取りに向き合うなかでしんどいと感じてしまう理由と、対処法についてご紹介いたしました。

在宅看取りを悔いなく行っていくためには、介護保険サービスの活用やアテンダントとの連携を欠かすことはできません。

必要に応じて適宜介護サービスの利用量を調整しながら、クライアントが自分らしく看取り期を過ごし、家族も笑顔で送り出すことができるような環境を整えていきましょう。

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