定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護保険制度のなかでも珍しく月額が固定されており、定額で利用することのできる介護保険サービスとなっています。
「介護度が進行しても、自宅で生活を続けたい」と考えているクライアントや、「最期の時まで自宅で看取りたい」と思っている家族に寄り添い、年中無休で24時間体制の介護サービスを提供しています。
2012年にサービスがスタートして以降、高い需要のある定期巡回・随時対応型訪問介護看護ですが、「本当に介護費用が抑えられるの?」「毎月どれくらいの費用が必要なの?」とお悩みのクライアントの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、定期巡回の費用について詳しくご紹介していきます。
これから定期巡回の利用を考えている方や、在宅で介護を行っていく方法をお考えの方は必見です。
定期巡回の利用にかかる費用
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用にあたって必要な費用は、以下の計算式で求めることができます。
((基本単位±各種加減算)×地域区分)×自己負担割合=自己負担金
基本単位
定期巡回の基本単位はクライアントの介護度、そして訪問看護の利用有無を考慮して所定の単位数が定められています。
参考となる定期巡回の基本単位は以下の通りです。
看護師による訪問看護あり | 准看護師による訪問看護あり | 訪問看護なし | |
---|---|---|---|
要介護1 | 8,312単位 | 8,146単位 | 5,697単位 |
要介護2 | 12,985単位 | 12,725単位 | 10,168単位 |
要介護3 | 19,821単位 | 19,425単位 | 16,883単位 |
要介護4 | 24,434単位 | 23,945単位 | 21,357単位 |
要介護5 | 29,601単位 | 29,009単位 | 25,829単位 |
各種加減算
例えば定期巡回の事業所が、クライアントの身体機能維持を目的とした機能訓練を実施している場合は個別機能訓練加算が、アテンダントにとって働きやすい職場環境の構築に取り組んでいる場合は定期巡回処遇改善加算が計上されます。
反対にクライアントがデイサービスやショートステイなどの通所型介護保険サービスを利用する場合は、日数に応じた減算を計上していきます。
これが、各種加減算です。
介護保険サービスで提供されるサービスの質や、定期巡回が不要であった期間などを総合的に判断して、基本単位数を調整していきます。
地域区分
地域区分は、介護保険サービスを提供している地域の人件費や地価などを考慮して決められた単価です。
2023年現在では1~7級地までと、その他の区分に分かれています。
例えば東京の23区内は特別区として1級地扱いになり、その他の地域と比較すると20%の上乗せになります。
自己負担割合
介護保険制度は介護報酬のうち、基本的には1割がクライアントの負担です。
ただし所得が現役世代並みにある方など、一部の方は2割負担もしくは3割負担の費用となります。
定期巡回の費用がお得になるのはどんな人?
実際に定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用にかかる費用は、おおよその目安が月額6,000円から30,000円となっています。
ではどんなケースであれば、定期巡回を利用することで出費を抑えられるのでしょうか。
実際のクライアントを想定し、比較してみましょう。
定期巡回のシミュレーション①要介護3で、排泄と食事の介助を毎日利用
要介護3のクライアントが31日間、毎日1回のおむつ交換と昼食の介助を依頼すると仮定します。
この場合、訪問介護では20分以内の身体介助(167単位)×31日・30分以上1時間未満の食事介助(396単位)×31日、トータル17,453単位の利用となります。
一方の定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、訪問看護なしで利用した場合は、ひと月あたりの基本単位数が16,883単位です。
訪問介護と同内容の利用であっても費用が若干抑えられる上に、訪問介護にはない24時間の緊急相談・訪問サービスである随時対応・随時訪問も利用できますので、お得になります。
定期巡回のシミュレーション②要介護3で、排泄と食事の介助を週に3回利用
先ほどと同じく要介護3のクライアントが、週に5回(1カ月に20回)だけ1日1回のおむつ交換と昼食の介助を依頼する場合はどうなるでしょうか。
この場合の訪問介護では、20分以内の身体介助(167単位)×20日・30分以上1時間未満の食事介助(396単位)×20日、トータル11,260単位の利用です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護ではクライアントが家族の協力等によってサービスを利用しなかった日があったとしても月額の基本単位数は減算になりませんので、ひと月あたりの基本単位数は16,883単位となり、費用は訪問介護よりも高額になります。
毎日サービスを利用するのかどうかが、1つの見極めポイント
上記のシミュレーションから分かる通り、定期巡回の費用がお得になるかどうかの分岐点は、毎日一定量以上の訪問介護を利用しているかどうかという点になります。
家族の協力が十分に得られる場合、また随時対応・随時訪問などの緊急時のサポートが必要でない場合などは、定期巡回を利用することで費用が高額になってしまうかもしれません。
一方で毎日介助を必要としている方・随時対応と随時訪問の安心感が必要な方・深夜や早朝の時間帯を中心に介助をお願いしたい方は、定期巡回の利用で費用を抑えられる可能性があります。
詳しくはケアプランの作成時に、ケアマネージャーに相談してみましょう。
定期巡回の費用は月額制。ただし利用頻度と照らし合わせてから、利用の検討を
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の費用を計算する方法のご紹介と、実際のシミュレーションで定期巡回の利用がお得になるケースについての比較をしてみました。
月ごとに決まった金額で利用することができるお得な定期巡回ですが、居宅介護の利用頻度が低い場合や、緊急時の対応が不要というケースでは、あまり費用面でのメリットを感じられない場合もあります。
一方で費用面から訪問介護の利用頻度を控えている場合や、訪問介護の深夜・早朝加算が家計の負担になっている場合は、定期巡回への切り替えによって家族の負担を減らしながら、必要量の介護を利用できる可能性があります。
定期巡回サービス土屋では日本各地で定期巡回事業所を展開しており、今後もサービス提供地域を拡大する予定です。
定期巡回の利用が気になっている場合は、ぜひ一度定期巡回サービス土屋までご相談ください。