定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定額の月額制で利用することができる介護保険サービスです。
24時間365日の体制で日常生活に必要な介助、緊急時の相談や訪問を利用することができ、訪問看護もお願いすることが可能ですので、自宅での生活を継続したいと考えるクライアントの大きな支えとなっています。
基本的に費用が固定月額制となっている定期巡回・随時対応型訪問介護看護ですが、詳細な金額を計算する際には各種加減算が適応されます。
この記事では特に通所利用減算を中心に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護報酬についてご紹介していきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の費用計算式
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用した時の料金は、以下のような計算式で算出することができます。
基本報酬±各種加減算=総単位数
総単位数×地域区分=総報酬
なお総報酬のうち、自己負担は年間の合計所得によって1割から3割と定められています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用した際の基本報酬は、2021年度の介護報酬改定以降、以下のように定められています。
一体型の事業所を、看護師による訪問看護ありで利用した場合
- 要介護1……8,312単位
- 要介護2……12,985単位
- 要介護3……19,821単位
- 要介護4……24,434単位
- 要介護5……29,601単位
一体型の事業所を、准看護師による訪問看護ありで利用した場合
- 要介護1……8,146単位
- 要介護2……12,725単位
- 要介護3……19,425単位
- 要介護4……23,945単位
- 要介護5.…..29,009単位
一体型・連携型に関わらず、訪問看護なしで利用した場合
- 要介護1……5,697単位
- 要介護2……10,168単位
- 要介護3……16,883単位
- 要介護4……21,357単位
- 要介護5……25,829単位
連携型の事業所を利用した場合の訪問看護分の追加単位
- 要介護1~4……2,920単位
- 要介護5……3,720単位
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の各種加減算
介護報酬を算定する場合、上記でご紹介した基本報酬から各項目を加算したり、減算したりすることによって、総単位数を算出いたします。
冒頭でご紹介した定期巡回通所利用減算に代表されるような、頻出の加減算をご紹介していきます。
定期巡回通所利用減算
通所利用減算は、クライアントがデイサービスやデイケア、また地域密着型通所介護や認知症対応型通所介護を利用したときに行う減算です。
デイサービスやデイケア日中の一定時間を過ごしていることによって定期巡回を利用しない時間が一定時間発生しますので、その間の単位を減算するという仕組みになっています。
通所利用減算では、通所型の介護やリハビリを実際に利用した時間数には関わらず、1日あたりの減算単位は固定制となっています。
定められた減算単位数に対して、通所した日数分を乗算し、ひと月あたりの定期巡回単位数からマイナスします。
減算する単位は以下の通りです。
一体型の事業所を訪問看護ありで利用している場合
- 要介護1……91単位
- 要介護2……141単位
- 要介護3……216単位
- 要介護4……266単位
- 要介護5……322単位
訪問看護なしで利用している場合
- 要介護1……62単位
- 要介護2……111単位
- 要介護3……184単位
- 要介護4……233単位
- 要介護5……281単位
サービス提供体制強化加算
定期巡回・随時対応型訪問介護看護で提供されるサービスがさらに向上するよう、またアテンダントがさらなるキャリアアップを目指すことができるように設定されている加算が、サービス提供体制強化加算です。
施設に在籍するアテンダントの勤続年数や資格保持によって、加算の対象となります。
加算Ⅰ
事業所に在籍するアテンダントのうち、介護福祉士が60%以上もしくは勤続10年以上の介護福祉士25%以上の事業所を利用する場合は、1ヵ月あたり750単位の加算となります。
加算Ⅱ
事業所に在籍するアテンダントのうち、介護福祉士40%以上もしくは介護福祉士・実務者研修修了者・基礎研修修了者の合計が60%以上の事業所を利用する場合は、1ヵ月あたり640単位の加算となります。
加算Ⅲ
1ヵ月あたり350単位の加算となる加算Ⅲの事業所は、以下の通りです。
- 介護福祉士30%以上または介護福祉士・実務者研修修了者・基礎研修修了者の合計が50%以上
- 常勤のアテンダントが60%以上
- 勤続7年以上のアテンダントが30%以上
認知症ケア加算
日本では認知症のクライアント数が増加傾向にあり、特に65歳以上の認知症クライアントに対する介護体制の強化が急務となっています。
内閣府の推計によると、2025年には認知症高齢者数が約675万人に達すると予測されています。
認知症を発症した方全員が要介護と認定される訳ではありませんが、認知症の進行症状により介護を必要とするクライアントは多く、定期巡回・随時対応型訪問介護看護においても認知症クライアントへの対応力が求められています。
そのために創設された認知症ケア加算では、以下のような単位が加算されることになります。
加算Ⅰ
以下の条件を満たしている事業所を利用する場合は、1日あたり3単位が加算されます。
- 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者がクライアントの50%以上
- 認知症介護実践リーダー研修修了者を、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上のクライアントが20名未満の場合は1名以上、20名以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10または端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置し、専門的な認知症ケアを実施している
- 当該事業所のアテンダントに対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催している
加算Ⅱ
先ほどご紹介した加算Ⅰの要件に加えて、以下の条件を満たしている事業所を利用する場合は、1日あたり4単位が加算されます。
- 認知症介護指導者養成研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施している
- 介護、看護に関係するアテンダントごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、実施または実施を予定している
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の単位数は、通所利用減算をはじめとする各種加減算に要注意!
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は基本的に月額で単位数が固定されている介護保険サービスです。
しかしながらクライアントがデイサービスやデイケアなどの通所型の介護を利用した際は通所利用減算の対象となり、1日あたり定められた単位数を減算していく必要があります。
その他にも事業所のサービス提供体制に伴う加算や減算の対象となる場合がありますので、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用した際は毎月の単位数をしっかりと確認していきましょう。